1件のランダム化試験において、急性脳損傷を有し、より高いヘモグロビン目標値まで輸血を受けた重篤患者は、神経学的アウトカムがより良好であった。
ランダム化試験は、重篤患者の大部分に対してヘモグロビン輸血の閾値は7 g/dL未満が適切であることを示している。しかし、これらの研究に含まれた急性脳損傷患者はごくわずかであり、脳損傷は脳の自己調節を阻害しうることが、輸血のより高い閾値を正当化する可能性がある。外傷性脳損傷患者の最近の試験において、非制限的な輸血ストラテジーは、制限的なストラテジーよりもいくらか良好なアウトカムをもたらしたが、その差は統計学的有意に達しなかった(N Engl J Med 2024; 391:722)。
新たな研究において研究者らは、22ヵ国72の集中治療室において、貧血と外傷性脳損傷、脳動脈瘤によるくも膜下出血、または頭蓋内出血を有する患者850人を登録した。患者を制限的(7 g/dL未満)または非制限的(9 g/dL未満)な輸血ストラテジーにランダムに割り付けた。臨床家はストラテジーについて盲検化されなかった。
非制限群の患者は、制限群の患者よりもGlasgow Outcome Scale Extendedスコアに基づく180日時点でより良い神経学的アウトカムを有する割合が有意に高く(37% 対 27%、治療必要数[number needed to treat:NNT]10)、この差は異なる型の脳損傷を有する患者間で一貫していた。非制限的ストラテジー群では脳梗塞が有意に少なかった(8.8% 対 13.5%、NNT 22)。28日時点の死亡率と入院期間は、群間で同程度であった。
CITATION(S)
Taccone FS et al. Restrictive vs liberal transfusion strategy in patients with acute brain injury: The TRAIN randomized clinical trial. JAMA 2024 Oct 9; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jama.2024.20424)
Turgeon AF and Lauzier F. Shifting balance of the risk-benefit of restrictive transfusion strategies in neurocritically ill patients—Is less still more? JAMA 2024 Oct 9; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jama.2024.20416)
コメント
この研究の結果は、以前の研究の結果と一致しており、急性脳損傷患者はヘモグロビン値を9 g/dL超に維持することにより利益を得た。エディトリアル執筆者が助言するように、「神経学的に重篤なこれらの患者には、非制限的な輸血ストラテジーを提唱することが賢明である」。