貧血のある心筋梗塞患者ではおそらく9 g/dLであろう。
最近発表されたMyocardial Ischemia and Transfusion(MINT)試験は、輸血の閾値が7 g/dLや8 g/dLではなく、10 g/dLに設定された場合、30日時点の心筋梗塞(myocardial infarction:MI)の再発または死亡が少ない傾向があること(心臓関連死が有意に少ないことを含む)を示した(NEJM JW Gen Med Dec 15 2023、N Engl J Med 2023; 389:2446)。この利益は主に1型MI患者で認められた。今回、MINTの研究者らは、事前に規定した二次解析を実施し、4つの異なる輸血閾値ストラテジー間のアウトカムの差を評価した。
さまざまな輸血閾値のアウトカムを付随する表に示す。輸血閾値間のアウトカムの差はいずれも統計学的有意に達しなかった。
異なる輸血閾値でのアウトカム
略号:Hb-ヘモグロビン、MI-心筋梗塞CITATION(S)
Portela GT et al. Effect of four hemoglobin transfusion threshold strategies in patients with acute myocardial infarction and anemia: A target trial emulation using MINT trial data. Ann Intern Med 2024 Oct 1; [e-pub]. (https://doi.org/10.7326/M24-0571)
Bloch EM and Tobian AAR. Relaxing transfusion thresholds for patients with myocardial infarction: Findings from the MINT trial. Ann Intern Med 2024 Oct 1; [e-pub]. (https://doi.org/10.7326/M24-0895)
コメント
アウトカムに統計学的な群間差がみられないのに、これらの結果が重要なのはなぜか? その理由は、輸血が限られた、高価な資源であり、有害作用(例:循環過負荷、急性肺損傷、溶血反応、感染症)にもつながることがあるからである。9 g/dLと10 g/dLの閾値間で認められたわずかなアウトカムの差に基づいて、この解析は9 g/dLの輸血閾値は10 g/dLの輸血閾値と同程度の利益をもたらすであろうことを示唆している。急性の1型MIで受診した患者に、私は、(8 g/dL未満または10 g/dL未満ではなく)輸血の9 g/dL未満のヘモグロビン閾値を使用するだろう。