小~中断裂の肩腱板全層断裂に対する手術

Surgery for Small-to-Medium–Sized Full-Thickness Rotator Cuff Tears

1件のランダム化試験の15年の追跡で、アウトカムは手術のほうが非手術的アプローチよりも良好であった。

約20年前、ノルウェーの研究者らは1件の試験を開始し、その試験では症状のある3 cm以下の肩腱板全層断裂の患者103人(平均年齢60歳)が理学療法または手術にランダムに割り付けられた。登録時点で症状の持続期間の平均は約12ヵ月であった。追跡の最初の5年間では、標準化された尺度での疼痛および機能スコアの平均は両群とも相当に改善したが、改善は手術のほうが理学療法よりもわずかに良好であった(J Bone Joint Surg Am 2014; 96:1504)。

今回研究者らは、長期の追跡が可能であった患者83人の15年のアウトカムを報告している。その期間中に、理学療法にランダムに割り付けられた患者の29%が手術にクロスオーバーしていた(大部分が追跡の最初の2年間)。intent-to-treat解析において、同じ標準化された尺度でのスコアの平均は差が存在し続け、手術群のほうが有意に良好であった。15年目までに、理学療法から手術にクロスオーバーした患者は、最初に手術に割り付けられた患者と同様のアウトカムを示す傾向にあった。

コメント

小~中断裂の肩腱板全層断裂の患者を対象としたこの試験で、長期アウトカムは平均して手術のほうが良好であった。外科的アプローチと非外科的アプローチの両方について患者と話し合うべきであり、個別の意思決定は「患者の現在および将来における肩についての要求」を反映すべきである、とする著者らの推奨は妥当であると思われる。最初に手術を避けることを好んだ患者には、理学療法を行い症状が改善しない場合は手術にクロスオーバーするのも、選択肢である。

CITATION(S)

Moosmayer S et al. Fifteen-year results of a comparative analysis of tendon repair versus physiotherapy for small-to-medium-sized rotator cuff tears. J Bone Joint Surg Am 2024 Oct 2; 106:1785. (https://doi.org/10.2106/JBJS.24.00065)

Original Issue: Vol.44 No.22