鍼治療は慢性坐骨神経痛のアウトカムを改善するか?

Does Acupuncture Improve Outcomes in Chronic Sciatica?

1件のランダム化試験において、鍼治療は偽処置と比較して疼痛および障害の軽減に優れていた。

鍼治療は安全であると認識されているため、有効性のエビデンスが限られているにもかかわらず慢性坐骨神経痛患者の治療に用いられることがある。中国で行われたこの試験では、成人216人(平均年齢51歳)が4週間で10回のセッションの鍼治療または偽処置にランダムに割り付けられた。偽処置では、非経穴部に置かれた接着性フォームパッドに鈍針が挿入された。すべての患者が画像検査で確認された椎間板ヘルニアに起因すると考えられた中等度~重度の片側の下肢痛を有し、症状の持続期間の平均は3年(範囲1.3~10年)であった。疼痛を改善する薬物を服用している患者や腰椎椎間板手術歴のある患者は除外された。

鍼治療を受けた患者は、偽処置を受けた患者よりも4週時点での下肢疼痛の軽減が大きく(0~100 mmのビジュアルアナログスケールでの減少の平均31 mm 対 15 mm)、障害の改善も大きい(減少の平均13 mm 対 5 mm)と回答した。疼痛スコアおよび障害スコアのベースラインからの改善は、2週時点から始まり、1年時点まで持続した。軽微な出血は鍼治療群のほうが多かった(24% 対 5%)が、受診を必要とする患者はいなかった。

コメント

この研究における疼痛と機能の改善は、この患者集団における鍼治療の臨床的に意味のある持続的な効果を示唆している。しかしその利益の一部は、偽処置との比較であるにもかかわらず、患者が自分の受ける治療を知っていたことによって説明されるかもしれない。最後に、症状の持続期間が長いことを考慮すると、これらの結果を一般化することには問題があるかもしれない。長年にわたって「坐骨神経痛」のラベルが貼られている場合、慢性の背部痛および下肢痛の正確な原因を解明することを困難にするほかの筋骨格系の状況が生じている患者もいるであろう。

CITATION(S)

Tu J-F et al. Acupuncture vs sham acupuncture for chronic sciatica from herniated disk: A randomized clinical trial. JAMA Intern Med 2024 Oct 14; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2024.5463)

Original Issue: Vol.44 No.22