噴霧式定量吸入器のカーボンフットプリントは、ドライパウダー吸入器より20~30倍であった。
噴霧式定量吸入器(metered-dose inhaler:MDI)は、数十年にわたり吸入療法の柱であったが、強力な温室効果ガスであるハイドロフルオロカーボンなどの噴射剤を含有する。一般的に処方される吸入器の気候への影響はほとんど認識されていない。
2022年の米国MedicareおよびMedicaidのデータに基づく1件の研究で研究者らは、吸入器あたりの温室効果ガス排出量を、平均的なガソリン乗用車での運転マイル数に換算した。研究者らは、平均すると、使用された各MDIが57マイルの運転に相当することを見出し、排出量がもっとも多かったのは短時間作用型β刺激薬の吸入器であった(70マイル)。これに比べて、使用された各ドライパウダー吸入器(dry-powder inhaler:DPI)は運転2マイルに相当する。もう1件の研究で研究者らは、標準用量において、MDIのカーボンフットプリントはDPIの20~30倍であることを明らかにした。
CITATION(S)
Tirumalasetty J et al. Greenhouse gas emissions and costs of inhaler devices in the US. JAMA 2024 Sep 24; 332:1017. (https://doi.org/10.1001/jama.2024.15331)
Janson C et al. Carbon footprint impact of the choice of inhalers for asthma and COPD. Thorax 2020 Jan; 75:82. (https://doi.org/10.1136/thoraxjnl-2019-213744)
コメント
適切な吸入器を選択することには、その有効性、患者がその吸入器を正しく使用できること、起こりうる副作用、保険適用、そしてこれからは生じうる温室効果を評価することが含まれる。この研究はNational Public Radioなどの報道機関によって報道されているため、患者はMDIの代わりにDPIを求めるかもしれない。しかし、私の患者の多くは、MDIはDPIよりも刺激が少なく、MDIの自己負担額のほうが低いかもしれないと感じている。