重症の股関節変形性関節症を有する患者における最初の治療としての理学療法と手術

Initial Physical Therapy vs. Surgery in Patients with Severe Hip Osteoarthritis

人工股関節全置換術は抵抗運動よりも優れていたが、但し書きがいくつかある。

人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)に紹介する前に、理学療法を試みることはよく行われる診療であるが、最初に抵抗運動を行った場合のアウトカムと、整形外科医のコンサルテーションの後直接THAに進んだ場合のアウトカムとの比較は行われていない。このデンマークの試験では、重症の股関節変形性関節症(osteoarthritis:OA)を有する患者109人が、即時のTHA、または監督下での抵抗運動を週2回12週間行うことのいずれかにランダムに割り付けられた。妥当性が確認されている患者回答によるアウトカム尺度(Oxford Hip Score:範囲は0~48点でスコアが高いほど良好なアウトカムを示す。ベースラインスコアの平均は25点)により、6、12、24ヵ月の時点で患者が評価された。

6ヵ月の時点で、THAを受けた患者は、抵抗運動群の患者よりも改善が有意に大きかった(改善16点 対 5点)。THAは12ヵ月の時点で持続して優越性を示した。機能的アウトカムのスコアは24ヵ月の時点で収束したが、これは主に、最初に抵抗運動にランダムに割り付けられた患者の77%がTHAにクロスオーバーしたためであった。

コメント

股関節OAに対して理学療法を開始する最良の時期はおそらく、進行した変性変化が現れる前である。この試験の患者の一部は抵抗運動により手術を延期または回避することができたが、大部分の患者は最終的にTHAを受けることになった。患者の選好に応じて、最初に理学療法へ紹介することは妥当であるが、進行した強い症状のある股関節OAを有する患者の大部分は、最終的に手術を選択するであろう。

CITATION(S)

Frydendal T et al. Total hip replacement or resistance training for severe hip osteoarthritis. N Engl J Med 2024 Oct 31; 391:1610. (https://doi.org/10.1056/NEJMoa2400141)

Original Issue: Vol.44 No.23