成人プライマリケア患者の大規模なコホートでは、入院43件あたり1件がアルコール離脱に関連していた。
アルコール離脱は、アルコール使用障害の致命的となる可能性のある合併症であるが、入院に関連するその疫学についての知識は限られている。この研究で研究者らは、2018~2022年にKaiser Permanente Washington医療システムで診察を受けた患者約50万人のプライマリケアコホートを同定し、アルコール離脱に関連する入院の発生率および関連する患者の特性を明らかにした。患者の約85%が、プライマリケア受診時に、標準化された質問票(AUDIT-C)を用いてアルコール使用のスクリーニングを受けていた。
約10万件の入院のうち、2.3%でアルコール離脱が主診断または副診断であった。すべての原因による入院に占める割合としてみた入院患者のアルコール離脱の発生率は、40~49歳の患者でもっとも高かった(6.7%)。30~49歳の患者では、入院の主診断としてのアルコール離脱は、糖尿病、高血圧、慢性閉塞性肺疾患、心不全よりも多かった。アルコール使用のリスクがAUDIT-Cに基づき高いまたは非常に高い患者12,000人では、それぞれ入院の23%および44%がアルコール離脱に関連していた。
CITATION(S)
Steel TL et al. Incidence of hospitalizations involving alcohol withdrawal syndrome in a primary care population. JAMA Netw Open 2024 Oct 8; 7:e2438128. (https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2024.38128)
コメント
アルコール離脱は、入院患者のあいだで入院の主な理由として、またはほかの理由で入院した患者における複雑化因子として、よく遭遇する。プライマリケアにおけるアルコール使用のスクリーニングは、リスクが高い患者を同定することができる。米国Preventive Services Task Forceは、不健康なアルコール使用に対するルーティンのスクリーニングおよび介入を推奨している(NEJM JW Gen Med Nov 21 2018; [e-pub]、JAMA 2018; 320:1899)。入院も介入の重要な機会であり、それには動機付け面接、依存症サービスへの結びつけ、アルコール使用障害に対する薬物が含まれうる(NEJM JW Gen Med Aug 1 2023、Ann Intern Med 2023; 176:1137)。