副腎偶発腫瘍と軽度自律性コルチゾール分泌

Adrenal Incidentaloma and Mild Autonomous Cortisol Secretion

この症候群と典型的Cushing症候群は、これまで考えられていたよりも臨床的に重なり合うかもしれない。

臨床的に明らかなCushing症候群を有しない副腎偶発腫瘍患者では、ときに、軽度自律性コルチゾール分泌(mild autonomous cortisol secretion:MACS)が認められる。MACSとCushing症候群の区別と重なりをよりよく理解するため、ドイツの内分泌科専門施設の研究者らはこの比較研究を実施した。

患者は、腹部画像検査で副腎腫瘤が偶然的に発見され、一晩の低用量dexamethasone抑制試験後に血清コルチゾールが抑制されず(>1.8 μg/dL)、最初の臨床的印象が「Cushing様」ではない場合に、MACSを有すると分類された。この定義を満たした48人が、臨床的にCushing症候群(下垂体、副腎、異所性の病因による)を発症した患者129人と比較された。

MACS患者は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、うつ病、骨粗鬆症などの併存疾患を有する割合がCushing症候群患者とほぼ同程度であった。典型的にはCushing症候群と関連付けられていた臨床徴候がMACS患者ではより少なかったが、些細でない割合の患者がこれらの所見の一部を有していた(例:体重増加の進行[50%]、頚背部の脂肪蓄積(buffalo hump)[24%]、顔面の多血症[23%])。

コメント

この研究は、副腎偶発腫瘍の評価において診断されたMACSと、疑わしい徴候および症状から臨床的に注目された軽度Cushing症候群のあいだの連続性を示唆している。これらの知見は、副腎偶発腫瘍患者では一晩のdexamethasone抑制試験を実施し、コルチゾールが抑制されない患者では典型的な併存疾患および身体所見がないかどうか評価することをわれわれに思い起こさせる。

CITATION(S)

Braun LT et al. Frequency of clinical signs in patients with Cushing’s syndrome and mild autonomous cortisol secretion: Overlap is common. Eur J Endocrinol 2024 Oct; 191:473. (https://doi.org/10.1093/ejendo/lvae127)

Original Issue: Vol.44 No.23