1件の新たなコホート研究において、交絡する可能性のある因子について慎重に補正した後、関連は消失した。
2022年のデンマークの1件の観察研究において研究者らは、妊娠前の3ヵ月間(精子形成の期間)にmetforminを服用していた男性の児は、父親がmetforminに曝露していない児よりも先天異常を有する割合が統計学的に高いことを報告した(NEJM JW Gen Med May 15 2022、Ann Intern Med 2022; 175:665)。しかし、その後のイスラエルの1件のコホート研究は、デンマークの研究の結果を確認しなかった(NEJM JW Gen Med Jul 15 2024、Ann Intern Med 2024; 177:851)。
今回、3つ目のグループがこの問題を検討している。研究者らは、精子形成期間の父親のmetforminへの曝露が全国データベースから判断できた、ノルウェーで出生した小児60万人と台湾で出生した小児260万人を同定した。研究者らは、2型糖尿病を有する父親に解析を限定し、父親の年齢、糖尿病の重症度の指標、慢性併存疾患、その他の薬物を含む、交絡する可能性のある因子について広範な補正を行った。研究者らは母親についても関連する特性および生活習慣因子で補正を行った。
どちらの国でも父親の約0.5%が精子形成期間にmetforminに曝露していた。未補正のデータで先天異常のリスクは、どちらの国のコホートでもmetforminに曝露した父親の児でより高かった(ノルウェーで5.0% 対 3.9%、台湾で3.4% 対 3.1%)。しかし、交絡する可能性のある因子で補正後、過剰なリスクはどちらのデータセットでも消失した。
CITATION(S)
Meng L-C et al. Paternal metformin use and risk of congenital malformations in offspring in Norway and Taiwan: Population based, cross national cohort study. BMJ 2024 Oct 16; 387:e080127. (https://doi.org/10.1136/bmj-2024-080127)
コメント
いかなる後ろ向き研究においても交絡が残存する可能性はあるが、今回の慎重な解析は、イスラエルの最近の研究からの結果と併せて、父親となることを検討している男性にmetforminの安全性について安心をもたらすはずのものである。