SGLT-2阻害薬は腎結石症の再発リスクを低下させるか?

Do SGLT-2 Inhibitors Lower Risk for Recurrent Nephrolithiasis?

腎結石の再発リスクはSGLT-2阻害薬のほうがGLP-1作動薬よりも低かった。

糖尿病と痛風はいずれも、患者を腎結石症にかかりやすくする。sodium–glucose cotransporter-2(SGLT-2)阻害薬は、尿酸の排泄と尿流をともに促進し、観察研究では腎結石および痛風発作のリスクが低いことを伴っていた(NEJM JW Gen Med Mar 15 2024AMA Intern Med 2024; 184:265;NEJM JW Gen Med Aug 15 2023Ann Intern Med 2023 176:1067)。これらの薬物による腎結石症の再発のリスクは広く研究されていない。

カナダの住民集団データベースを用いたこの最新の観察研究で研究者らは、2014~2022年にSGLT-2阻害薬(患者14,000人)またはglucagon-like peptide-1(GLP-1)受容体作動薬(患者6,000人)を開始した、糖尿病と腎結石症の既往を有する成人20,000人を同定した。研究集団の22%が痛風を併発していた。

平均で1.3年の追跡期間と、交絡する可能性のある因子を広範に補正した後、SGLT-2阻害薬を服用していた患者はGLP-1作動薬を服用していた患者よりも腎結石症の再発率が有意に低かった(1,000人年あたり156 対 103;治療必要数[number needed to treat:NNT]20)。同様の結果がさまざまなサブグループ解析と感度分析でみられた。腎結石症を最近発症した患者では、GLP-1作動薬に対するSGLT-2阻害薬のNNTは5であった。痛風患者のうち、SGLT-2阻害薬を開始した患者ではGLP-1作動薬を開始した患者よりも尿路結石の発症が有意に少なく、痛風発作も少なかった。

コメント

臨床家は現在、2型糖尿病患者に対する上乗せ薬物療法としていくつかの異なる選択肢を有しているが、選択は五分五分のことがある。この研究の結果は、糖尿病患者に対して追加の薬物療法を検討する際に、痛風や腎結石症の再発の既往が、SGLT-2阻害薬を処方する方向に進む因子となりうることを示唆している。

CITATION(S)

McCormick N et al. Comparative effectiveness of sodium-glucose cotransporter-2 inhibitors for recurrent nephrolithiasis among patients with preexisting nephrolithiasis or gout: Target trial emulation studies. BMJ 2024 Oct 30; 387:e080035. (https://doi.org/10.1136/bmj-2024-080035)

Original Issue: Vol.44 No.23