この観察研究では、rosuvastatinはより低い6年死亡率を伴ったが、結果の解釈と適用は単純ではない。
atorvastatinとrosuvastatinは相互に入れ替えられると考えられることが多い。韓国の最近の1件のランダム化試験では、いずれかの薬物を服用した患者の心血管アウトカムは同程度であったが、糖尿病の発生率はrosuvastatinの投与を受けた患者のほうが高かった(NEJM JW Gen Med Nov 15 2023、BMJ 2023; 383:e075837)。これらの結果が韓国以外の集団に一般化できるかどうかは不明である。
これらの薬物をさらに比較するため研究者らは、中国と英国の2つの大規模データベースをレビューした。中国のデータベースで患者約134,000人、英国のデータベースで患者約6,000人がatorvastatinまたはrosuvastatinを開始しており、各国のコホート内で傾向スコア(propensity-score)によりマッチされた。中国および英国いずれのデータベースにおいても、6年全死因死亡率は、rosuvastatinを服用した患者のほうがatorvastatinを服用した患者よりも有意に低かった(ハザード比[hazard ratio:HR]それぞれ0.91、0.74)が、2つの薬物の差は中用量で使用したときのみ有意性に達した。さらに、死亡率の差は二次予防では明らかであったが、一次予防では明らかではなかった。両コホートにおいて、心臓および肝臓の主要有害アウトカムのリスクはrosuvastatinのほうが有意に低かった。英国のコホートにおいて、糖尿病のリスクはrosuvastatinのほうが高かった(HR=1.25)が、中国のコホートではそうではなかった。
CITATION(S)
Zhou S et al. Comparative effectiveness and safety of atorvastatin versus rosuvastatin: A multi-database cohort study. Ann Intern Med 2024 Oct 29; [e-pub]. (https://doi.org/10.7326/M24-0178)
コメント
この研究は、atorvastatinとrosuvastatinで、いくつかのアウトカムに小さな差があることを示唆している。しかし、これらの観察結果が上記の韓国のランダム化試験の結果と異なる理由は不明である。2つのデータベース、用量の強度、一次予防(と二次予防との比較)に一貫性がないため、結果の解釈と適用は単純ではない。今のところ、私は前糖尿病状態の患者に対してはatorvastatinを好み続けるが、それ以外の患者に対しては2種類の薬物を入れ替えることができるものとして使用する。