塞栓源不明の脳塞栓症の患者に対する抗凝固療法と抗血小板療法の比較

Anticoagulation vs. Antiplatelet Therapy for Patients with Embolic Stroke of Undetermined Source

1件のメタアナリシスは、卵円孔開存に対しては抗凝固療法を支持する可能性の兆し、左房拡大に対しては一貫しない結果を示す。

塞栓源不明の脳塞栓症(embolic stroke of undetermined source:ESUS)発症後の脳卒中再発の予防として抗凝固療法が抗血小板療法と比較された複数の試験では、どっちつかずの結果が得られている。しかし、ESUS患者で脳卒中の機序が異なった部分集団は、これらの選択肢に対して異なる反応を示すかもしれない。このメタアナリシスで研究者らは、抗凝固療法または抗血小板療法にランダムに割り付けられた患者15,000人を含む7件のランダム化試験を同定した。

虚血性脳卒中の再発、大出血、死亡の発生率は、ESUS患者全体でも、年齢(75歳未満 対 75歳以上)、性、研究ごとの(異なる)定義による心房性心疾患の有無に基づくサブグループでも、抗凝固療法と抗血小板療法で同程度であった。卵円孔開存(patent foramen ovale:PFO)を有する患者では抗凝固療法は抗血小板療法よりも優れており、左房拡大を有する患者では、ランダム化後に心房細動を除外するための心臓モニタリングが許容された場合(抗血小板療法を支持)と許容されなかった場合(抗凝固療法を支持)とで望ましい抗血栓薬が異なっていた。

コメント

ESUSに対して抗血小板療法が依然として主である。PFOサブグループのデータは慎重に解釈されるべきである。なぜなら、内科的管理のみが考慮され、PFO閉鎖は考慮されなかったからである。さらに、PFOに対する抗凝固療法の有効性は抗血小板療法を上回っていたが、これは境界線上であり、直接作用型経口抗凝固薬ではなくビタミンK拮抗薬を用いた研究に主に限定されていた。左房拡大に関するデータも、上述のように観察された治療効果の不均一性を考慮すると、解釈が難しい。

CITATION(S)

Ghannam M et al. Anticoagulation vs antiplatelets across subgroups of embolic stroke of undetermined source: A meta-analysis of randomized controlled trials. Neurology 2024 Nov 12; 103:e209949. (https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000209949)

Original Issue: Vol.44 No.23