全体の不具合率は10%であり、中心静脈ライン関連血流感染症、閉塞、移動が主な原因であった。
入院患者にしばしば使用される中心静脈アクセス器具(central venous access devices:CVAD、または「中心静脈ライン」)には、末梢挿入式中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter:PICC)、非トンネル型CVAD、トンネル型CVADがある。オーストラリアの研究者らは、多施設共同ランダム化試験(NEJM JW Gen Med Jun 1 2021、Lancet 2021; 397:1447)の二次解析を実施し、全原因によるCVADの不具合と特定の合併症(中心静脈ライン関連血流感染症、カテーテル閉塞、移動[dislodgement]、破損、血栓症、疼痛)の発生率を明らかにした。
成人患者のCVAD約1,900本(非トンネル型CVAD 43%、PICC 40%、トンネル型CVAD 17%)が解析に含まれた。全体で、不具合率は10%であり、半数を超える不具合が中心静脈ライン関連血流感染症であった。カテーテル閉塞および移動はそれぞれ不具合の約17%の原因であった。1,000カテーテル・日あたりの不具合発生率は、PICCで8、非トンネル型CVADで8、トンネル型CVADで6であった。抗菌薬コーティング非トンネル型CVADは、ほかのCVADと比較して中心静脈ライン関連血流感染症が有意に少ないことと関連した(ハザード比0.23)が、非トンネル型CVADの患者の50%で使用されたのみであった。研究病院以外の病院で挿入された非トンネル型CVADは、研究病院で留置されたCVADに比べて移動の発生割合が7倍であった。
CITATION(S)
Corley A et al. Incidence and risk factors for central venous access device failure in hospitalized adults: A multivariable analysis of 1892 catheters. J Hosp Med 2024 Oct; 19:905. (https://doi.org/10.1002/jhm.13414)
コメント
これらのデータは、臨床家が中心静脈ライン関連血流感染症を予防するためには抗菌薬コーティング非トンネル型CVADの使用を検討すべきであることを示唆している。免疫不全患者や感染の相当なリスクを有する患者では、とくにカテーテルの留置期間が5日を超える場合には、抗菌薬コーティングCVADが推奨される。さらにこの研究は、患者の移動の際に看護師および臨床家は、非トンネル型CVADの固定を確保することに関する意識を高める必要があることを示唆している。