重度の低ナトリウム血症を補正する:ゆっくりしすぎないように

Correcting Severe Hyponatremia: Don’t Go Too Slow

1件のメタアナリシスは、より大きい補正速度はより低い死亡率を伴い、浸透圧性脱髄症候群の過剰リスクはないことを示している。

低ナトリウム血症の補正に関する米国および欧州の診療ガイドラインは、浸透圧性脱髄症候群を防ぐために、血清ナトリウムの補正を24時間に10~12 mEq/L未満、48時間に18 mEq/L未満に制限するよう推奨している。しかし、これらの推奨は質の低いエビデンスに基づいており、最近の複数の大規模研究は、より大きい補正速度では死亡がより少なく、浸透圧性脱髄症候群の過剰リスクもないことを示している。

研究者らは、重度の低ナトリウム血症(血清ナトリウム値120 mEq/L未満、または血清ナトリウム値125 mEq/L未満かつ重度の症状がある)を有する患者における16件の研究(患者12,000人、平均年齢68歳)のメタアナリシスを行った。補正速度の4つのカテゴリーは、以下のとおり分類された。

  • 非常に急速:24時間に12 mEq/L超
  • 急速:24時間に8超~10 mEq/L
  • 緩徐:24時間に6~10 mEq/L
  • 非常に緩徐:24時間に4~6 mEq/L未満

大部分の研究は、急速と緩徐または非常に緩徐とを比較していた。重度の低ナトリウム血症の急速な補正では、緩徐および非常に緩徐な補正と比較して、治療を受けた患者1,000人あたり、院内死亡がそれぞれ32件および221件少なかった(中程度の確実性のエビデンス)。さらに30日時点で、急速な補正では、治療を受けた患者1,000人あたり、死亡がそれぞれ61件および134件少なかった。入院期間は、急速な補正後のほうが緩徐および非常に緩徐な補正後よりも、それぞれ1日および3日短かった(確実性が低いエビデンス)。補正速度は、浸透圧性脱髄症候群の発生率の統計学的に有意な差を伴わなかった(非常に急速:0.3%、急速:0.5%、緩徐:0.2%、非常に緩徐:0.1%未満)。

コメント

臨床家は、血清ナトリウム値の急速な過補正を避けるよう常に指導されてきたが、これらのデータは、低ナトリウム血症患者の治療を緩徐に行いすぎることのほうが、大きな懸念であることを示唆している。より緩徐な補正速度に伴うより高い死亡率、および浸透圧性脱髄症候群との明確な関連がないことは、われわれはナトリウム値を速やかに正常化するよう努力すべきことを示している。

CITATION(S)

Ayus JC et al. Correction rates and clinical outcomes in hospitalized adults with severe hyponatremia. A systematic review and meta-analysis. JAMA Intern Med 2024 Nov 18; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2024.5981)

Original Issue: Vol.44 No.24