SGLT-2阻害薬は降圧薬とみなすべきか?

Should SGLT-2 Inhibitors Be Counted as Antihypertensive Medications?

SGLT-2阻害薬は、わずかであるが臨床的に意味のある降圧作用を有し、その作用は治療抵抗性高血圧症患者で顕著に現れる。

ナトリウムグルコース共輸送体2(sodium–glucose cotransporter-2:SGLT-2)阻害薬は、2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善し、有害心血管イベント、心不全の悪化、慢性腎臓病の進行のリスクを低下させる。SGLT-2阻害薬は降圧薬には分類されないが、利尿、体重減少、交感神経活性低下に関連する作用の組み合わせによって、わずかな降圧作用を示す。Kaiser Permanente Southern Californiaシステムで高血圧に対して薬物療法をすでに使用している成人約13,000人を対象としたこの後ろ向きコホート研究で研究者らは、主に糖尿病の管理に処方されたSGLT-2阻害薬が、血圧および降圧薬の使用に及ぼす効果を検討した。

主な結果は以下のとおりであった。

  • 収縮期血圧/拡張期血圧の低下の平均は5mmHg/3 mmHgであった。その作用は、治療抵抗性高血圧の患者で少し大きかった
  • SGLT-2阻害薬の開始後、13%多くの患者が、血圧の目標値である130/80 mmHg未満を達成した。
  • 全体の3分の1を超える患者で、SGLT-2阻害薬の開始後は降圧薬の使用が少なかった。治療抵抗性高血圧の患者のサブグループの約半数で、降圧薬の使用が少なかった。

コメント

これらの結果は、私が診療において逸話的に目にしてきたことを確認するものであり、いくつかの理由で注目に値する。SGLT-2阻害薬の降圧作用は、治療抵抗性高血圧患者でより大きかったが、これらの集団は本質的に治療が困難である。さらに、観察された血圧への効果は、降圧薬全般の減少とともに生じた。最後に、この血圧低下の程度は、aprocitentanおよび腎除神経術で認められるものと同程度であり、これらはいずれもFDAにより高血圧患者に対して承認されている治療法である。これらの結果に基づいて、私は、糖尿病と高血圧を有する患者、とくに治療抵抗性高血圧を有する患者に対する上乗せ療法として、SGLT-2阻害薬を検討する頻度をより高くしていくであろう。

CITATION(S)

An J et al. Blood pressure reduction and changes in antihypertensive medication use among patients with hypertension who initiated sodium-glucose cotransporter-2 inhibitors. J Clin Hypertens (Greenwich) 2024 Nov; 26:1318. (https://doi.org/10.1111/jch.14915)

Original Issue: Vol.44 No.24