回収するかそのままにするか:下大静脈フィルターの最終的な運命

Retrieve It or Leave It: The Ultimate Fate of Inferior Vena Cava Filters

米国の1件の市販後サーベイランス研究において、下大静脈フィルターは6個に1個のみが回収された。

下大静脈(inferior vena cava:IVC)フィルターの利益と害に関するエビデンスは相反するものの、静脈血栓塞栓症を有し抗凝固療法が禁忌である患者では依然としてよく使われている。U.S. Food and Drug Administrationによれば、「リスク/利益プロファイルが抜去を支持し、患者の健康状態を考慮してその手技が実施可能な場合、患者はIVCフィルターの抜去に紹介されるべきである」。この観察研究において研究者らは、2013~2021年にIVCフィルターが挿入されたMedicare患者の請求データを検討し、挿入率と回収率を追跡した。

主な結果は以下のとおりであった:

  • IVCフィルターが挿入された患者270,000人(平均年齢75歳)において、中央値で1年よりわずかに長い追跡時点で、累積回収率は15%であった。
  • 研究期間中に、挿入の年間発生率はMedicare受給者10万人当たり158から64に低下したが、回収の年間発生率は受給者10万人当たり約13のまま変わらなかった。
  • 短期の(挿入後30日以内に発生した)安全性アウトカムは、死亡15%、手技前後の手術室入室10%を含み、生存者の長期の(30日より後、最長9年の追跡時点までに発生した)安全性アウトカムは、新規の深部静脈血栓症21%、大静脈血栓症2%を含んだ。
  • 回収するまで生存した患者では、回収の94%が成功し、回収の合併症はまれ(4%)であった。

コメント

この問題を検討することは、対照群がなく、IVCフィルターの適応を有する患者では出血と血栓症のリスクが継続するため、本質的に困難である。それでもこれらの結果は、回収は通常は成功して安全であり、適時の回収をしそこなうことは害を伴うと、臨床家を安心させるものである。

CITATION(S)

Ferro EG et al. Postmarketing surveillance of inferior vena cava filters among US Medicare beneficiaries: The SAFE-IVC study. JAMA 2024 Nov 6; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jama.2024.19553)

Original Issue: Vol.44 No.24