前糖尿病状態にある肥満患者に対するtirzepatide

Tirzepatide in Patients with Obesity and Prediabetes

3年の研究期間中に大部分の患者が正常血糖に戻った。

SURMOUNT-1試験は企業の支援を受けた試験であり、肥満管理に対するtirzepatide(商標名Zepbound)の米国FDAの承認につながった(NEJM JW Gen Med Aug 1 2023N Engl J Med 2022; 387:205)。この試験は糖尿病を有する患者を除外したが、参加者の40%が前糖尿病状態であった。今回研究者らは前糖尿病状態のサブグループのアウトカムを、血糖状態の変化に焦点を当てて報告している。

前糖尿病状態で肥満を有する患者1,032人が、tirzepatideの3つの目標用量(5、10、15 mgを週1回)のいずれか、またはプラセボにランダムに割り付けられた。参加者はまた、食事と身体活動に関するカウンセリングを最初は1ヵ月に1回、その後は四半期に1回受けた。3年の時点で、以下のアウトカムが認められた。

  • 体重の平均(ベースラインで107 kg)は、tirzepatideの各用量を通じて12~20%減少し、プラセボで1%減少した。
  • 糖化ヘモグロビン(HbA1c)の平均(ベースラインで5.8%)は、tirzepatideで約0.6%減少し、プラセボで約0.1%減少した。
  • tirzepatideの投与を受けた患者の1%およびプラセボの投与を受けた患者の13%が糖尿病の基準を満たした。
  • tirzepatideの投与を受けた患者の90%を超える患者と、プラセボの投与を受けた患者の60%が正常血糖に戻った。

コメント

予想されたように、体重減少を誘発しインスリン分泌に影響を及ぼす薬物は、肥満で前糖尿病状態にある患者の血糖状態を改善した。私を驚かせていることは、プラセボ群では体重減少は無視できる程度であったにもかかわらず血糖状態は平均でわずかに改善していることであり、これは定期的な生活習慣カウンセリングにある程度の効果があったことを示唆している。いずれにしても3年間のこの報告は貴重な中期的な情報を提供するものであるが、米国においてこの薬物の費用がきわめて高いことは、依然として見て見ぬふりをされている重要な問題である。

CITATION(S)

Jastreboff AM et al. Tirzepatide for obesity treatment and diabetes prevention. N Engl J Med 2024 Nov 13; [e-pub]. (https://doi.org/10.1056/NEJMoa2410819)

Original Issue: Vol.44 No.24