1件のコホート研究は、期待余命が限られた男性において、中間リスクおよび高リスクの前立腺癌の過剰治療が増加していることを指摘している。
複数の泌尿器科関連団体は、期待余命が限られた男性では前立腺癌のスクリーニングを行わないよう推奨している(NEJM JW Gen Med Aug 1 2023、J Urol 2023; 210:46)。これらの患者で前立腺癌が検出された場合、ガイドラインは、多くの場合には決定的な治療(すなわち、手術や放射線療法)よりも能動的サーベイランスまたは待機的観察(watchful waiting)を推奨している。臨床診療がこれらの推奨を反映しているかどうかを評価するため、研究者らは、臨床的に限局した前立腺癌を有する米国退役軍人約244,000人(診断時平均年齢67歳)のコホートを同定し、妥当性の確認されているスコアを用いて、期待余命を推定した。
2000~2019年に、決定的な治療を受けた男性の割合は、この介入が推奨されない2つの群で顕著に増加し、期待余命が10年未満で中間リスクの癌を有する男性では38%から60%に、期待余命が5年未満で高リスクの癌を有する男性では17%から47%に増加した。治療を受けた患者の大部分は、手術ではなく放射線療法を受けた。
CITATION(S)
Daskivich TJ et al. Overtreatment of prostate cancer among men with limited longevity in the active surveillance era. JAMA Intern Med 2024 Nov 11; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2024.5994)
コメント
期待余命が限られている前立腺癌の男性に対する過剰治療(おもに放射線療法)は増加しているようである。私はプライマリケア医として、前立腺癌の治療について決定を下すことはないが、前立腺癌のスクリーニングに関する決定について患者に助言することは多い。この研究は、期待余命が限られた男性に前立腺特異的抗原検査をオーダーする際に、有害となるかもしれないその後の帰結を強く思い起こさせるものである。