複数の自己免疫疾患は、COVID-19に罹患した人のほうがしなかった人よりも多く発生した。
追跡期間が比較的短い複数の小規模研究は、COVID-19の急性エピソード後のさまざまな自己免疫疾患の過剰リスクを示している。韓国の全国健康データベースを用いて研究者らは、十分に確認された急性COVID-19を発症した300万人と、COVID-19に罹患しなかった対照約400万人において、皮膚をおかしうる自己免疫疾患の新たな症例数を調査した。追跡期間の平均は287日であった。パンデミック前に自己免疫疾患が記載されていたCOVID-19患者または対照はいなかった。
交絡する可能性のある因子について多変量での補正をした後、複数の自己免疫疾患がCOVID-19患者で有意に多く発症したことが示され、全頭脱毛症、Behçet病、Crohn病、水疱性類天疱瘡がもっとも多くみられた(補正ハザード比[adjusted hazard ratio:AHR]1.2~1.6)。
円形脱毛症、白斑、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、Sjögren症候群、強直性脊椎炎も、COVID-19患者のほうで多くみられた(AHR 1.1~1.2)。新たな自己免疫疾患発症のリスク因子は、重症の急性COVID-19、デルタ株(オミクロン株と比し)感染、ワクチン接種を受けていないことを含んだ。
CITATION(S)
Heo Y-W et al. Long-term risk of autoimmune and autoinflammatory connective tissue disorders following COVID-19. JAMA Dermatol 2024 Nov 6; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamadermatol.2024.4233)
コメント
この民族的に均質な集団において、皮膚をおかす複数の自己免疫疾患が急性COVID-19後の1年間に有意に多く診断されたが、有病率の過剰の絶対数は非常に低かった。過剰リスクは、分子模倣(molecular mimicry)、自己抗体、炎症性サイトカイン値の上昇、COVID-19に関連するその他の因子によって媒介されると思われる。臨床家はこの現象に注意すべきである。但し書きとして、これらの疾患の一部はCOVID-19以前に存在していたが急性COVID-19で受診するまで、患者によって臨床的関心の対象とされなかったのかもしれない、ということである。この研究では、皮膚をおかさない自己免疫疾患(例:甲状腺炎、多発性硬化症)は評価されなかった。