12~24時間以内の早期の診断的穿刺は、院内死亡率がより低いこと、入院期間がより短いこと、急性腎障害がより少ないことを伴っていた。
肝硬変と腹水を有する入院患者は、特発性細菌性腹膜炎(spontaneous bacterial peritonitis:SBP)のリスクが高く、エピソードの3分の1もが症状を伴わずに生じる。したがってガイドラインでは、肝硬変と腹水で入院しているすべての患者に対して診断的穿刺を推奨しているが、入院患者の穿刺の具体的なタイミングについての推奨は行っていない(NEJM JW Gen Med Nov 1 2021、Hepatology 2021; 74:1014)。
7件の観察研究(患者78,000人超)のメタアナリシスで、入院後12~24時間以内に診断的穿刺を受けた患者は、これより遅れて穿刺を受けた患者や穿刺を受けなかった患者と比較して、急性腎障害の発生率がより低く(24% 対 35%)、入院期間がより短く(5日短い)、院内死亡率がより低かった(7% 対 10%)ことを含め、アウトカムが有意に優れていた。入院後12時間以内に穿刺を受けた患者約700人(4件の研究から)のサブグループ、すなわちよりリスクが高いと思われるサブグループの解析でも、12時間以内の穿刺のほうが、それより遅い穿刺と比べて院内死亡率は有意に低かった(12% 対 26%)。
CITATION(S)
Beran A et al. Early diagnostic paracentesis improves outcomes of hospitalized patients with cirrhosis and ascites: A systematic review and meta-analysis. Am J Gastroenterol 2024 Nov; 119:2259. (https://doi.org/10.14309/ajg.0000000000002906)
コメント
これらの結果は、肝硬変と腹水で入院しているすべての患者に対して、早期の診断的穿刺を支持するものである。死亡率がより低く、入院期間が劇的に短いことから、入院後24時間以内の穿刺を病院の質の指標として確立すべきである。これらの知見は、SBPと診断されれば、それが無症状であることも多いが、必要な抗菌薬の投与とアルブミンの静脈内投与を迅速に開始するよう、入院後12時間以内(そして必ず24時間以内)に診断的穿刺を行うよう努めることを納得させるものである。