慢性閉塞性肺疾患患者の「無症状の」粘液栓は何を示すか?

What Do “Silent” Mucus Plugs in COPD Patients Tell Us?

明らかな症状のない患者の胸部CTで認められた粘液栓は、より重度の疾患と関連した。

粘液に関連した症状のない慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)患者において、コンピュータ断層撮影(computed tomography:CT)スキャンで気道粘液栓が明らかになることがしばしばある。この「無症状の」粘液栓の意義を明らかにするため、研究者らは、COPD患者4,400人の臨床データおよび画像データをレビューした。

咳嗽または喀痰が認められない1,700人のうち、CTスキャンで粘液栓が示された患者は、粘液栓のない患者と比較して臨床評価指標が有意に不良であった(例:6分間歩行距離がより短い、安静時動脈血酸素飽和度がより低い、1秒量の予測値に対する率がより低い、肺気腫がより多い、過去1年間において重度の増悪のオッズがより高い)。比較は年齢、体格指数(body-mass index)、喫煙状況を含む、交絡する可能性のある因子で補正された。

コメント

私は、COPD患者において、肺気腫の程度を明らかにし、併存する病態(例:肺結節、肺癌、冠動脈石灰化)を探すためにCT画像に頼ることが多いが、必ずしも粘液栓に予後予測上の意義があると考えていたわけではなかった。胸部CTでの偶発的所見に関する最近の総説(NEJM JW Gen Med Oct 15 2024Am J Respir Crit Care Med 2024; 210:281)で考察されているように、慢性気管支炎の症状を訴えていないCOPD患者における粘液栓の所見は、より重症で、予後がより不良な患者を同定するものである。臨床家として、私は症状のある患者に注目する傾向がある。この論文は、症状のない患者における粘液栓が重要かつ不吉な徴候であることを強調している。

CITATION(S)

Mettler SK et al. Silent airway mucus plugs in COPD and clinical implications. Chest 2024 Nov; 166:1010. (https://doi.org/10.1016/j.chest.2023.11.033)

Original Issue: Vol.45 No.1