大腸内視鏡検査が陰性であったあとのスクリーニング間隔は10年を超えて延長できるか?

Could the Screening Interval After Negative Colonoscopy Be Extended Beyond 10 Years?

複数の研究で、とくに低リスクの人では、より長い間隔が妥当であることが示唆される。

スクリーニング大腸内視鏡検査の間隔のランダム化比較は実施不可能であるため、推奨事項は観察データに基づいている。大腸内視鏡検査が陰性であったあとの10年間というガイドラインが推奨する間隔は、大腸癌(colorectal cancer:CRC)のアウトカムにほとんど影響を及ぼすことなく延長できるかもしれないというエビデンスが増加しつつある。2件の新たな後ろ向き研究が追加の情報を提供している。

スウェーデンの研究者らは、全国データを用いて、CRCの家族歴がなく、1990~2016年に最初の大腸内視鏡検査で陰性の所見を示した11万人(年齢範囲45~69歳)を同定した。大腸内視鏡検査を受けていない対照200万人との比較を含んだ複雑な解析は、大腸内視鏡検査が陰性であったあとのスクリーニング間隔を15年としても、10年という間隔の利益のほぼすべてが維持されることを示唆した。

2つ目の報告には、U.S. Nurses’ Health StudyコホートとHealth Professionals Follow-Up Studyコホートのデータが使用された。1990~2020年に大腸内視鏡検査が陰性であった80,000人と大腸内視鏡検査を受けなかった114,000人について、CRCの発生率と死亡率が比較された。参加者は、この研究チームによって開発されたリスクスコアに従ってベースラインのCRCリスクで層別化された*。モデリングは、高リスクのスコアを有しない人では、スクリーニング間隔が15年、あるいは更に長くても許容されることを示唆した。

*このスコアでは、年齢、性、家族歴、aspirinの使用、身長、体格指数(body-mass index)、喫煙、身体活動、アルコールおよび食事に対して点数を割り当てる。

コメント

米国の研究の著者らは、大腸内視鏡検査の結果が陰性であった患者は「医師との話し合いを通じて、とくに既知のCRC危険因子に基づき低リスクのプロファイルを示す患者では、サーベイランス間隔を延長することを考慮してもよい」と提案している。現時点では、10年という間隔は依然として米国の標準である。しかし、将来のガイドラインの改訂で、より柔軟な対応が可能となり、CRCの危険因子に応じて決定を個別化できるようになるかもしれないと考えられる。

CITATION(S)

Liang Q et al. Longer interval between first colonoscopy with negative findings for colorectal cancer and repeat colonoscopy. JAMA Oncol 2024 Jul; 10:866. (https://doi.org/10.1001/jamaoncol.2024.0827)

Knudsen MD et al. Colorectal cancer incidence and mortality after negative colonoscopy screening results. JAMA Oncol 2024 Nov 27; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamaoncol.2024.5227)

Original Issue: Vol.45 No.2