非ヒスパニック系黒人患者は、平均血糖値が同じ非ヒスパニック系白人患者よりもHbA1c値が高かった。
これまでの研究は、特定の糖化ヘモグロビン(glycosylated hemoglobin:HbA1c)値における平均血糖値は人種集団間で異なることを示唆しているが、この観察を評価するための持続血糖モニタリング(continuous glucose monitoring:CGM)を含んだ研究はほとんどない。以前発表されたGRADE糖尿病試験(NEJM JW Gen Med Jan 1 2023)の1件のサブスタディにおいて研究者らは、HbA1c値と、CGMにより記録された血糖値の10日間平均値との相関が、人種集団間で異なるかどうかを検討した。
参加者1,500人の大部分が非ヒスパニック系白人および非ヒスパニック系黒人と自認した。非ヒスパニック系黒人参加者における補正後のHbA1c値と平均血糖値との相関は、ほかの人種または民族集団と比較して有意に異なっていた。たとえば、平均血糖値が100~250 mg/dLの範囲におけるHbA1cの結果は、非ヒスパニック系黒人の参加者のほうが非ヒスパニック系白人の参加者よりも0.2~0.6パーセントポイント高かった。異常ヘモグロビン症または貧血はHbA1c値に影響を及ぼさなかった。
CITATION(S)
Nathan DM et al. Relationship between average glucose levels and HbA1c differs across racial groups: A substudy of the GRADE randomized trial. Diabetes Care 2024 Dec; 47:2155. (https://doi.org/10.2337/dc24-1362)
コメント
これらの観察は、一部の非ヒスパニック系黒人患者に対して過剰診断および過剰治療に影響を及ぼすかもしれないという臨床的意義をもつかもしれない。人種集団間のHbA1cの差は、ある血糖値に対する平均値であるため、一部の人々では差異がさらに大きくなる可能性がある。このサブスタディにはさまざまな限界があるものの、とくにHbA1c値と血糖値が予想外に一致しないようにみえる場合には、人種間のばらつきについて考慮すべきである。これらの差の機序は不明であるが、著者らは、人種間の糖化の差が要因かもしれないと指摘している。