この観察研究で、GLP-1受容体作動薬はアルコール使用障害による入院のリスクがより低いことを伴った。
glucagon-like peptide-1(GLP-1)受容体作動薬は、主に体重減少のためや糖尿病に対して使用されているが、アルコール使用障害(alcohol use disorder:AUD)患者のアウトカムを改善するかもしれないことを示すエビデンスが浮かび上がっている。これらの薬物がAUDに関連するアウトカムをどのように改善するかは不明であるが、前臨床試験は、GLP-1作動薬が、脳の報酬システムに存在するGLP-1受容体に媒介される作用を通じてアルコールへの渇望を低減させることを示唆している。GLP-1作動薬の使用がAUDによる入院のリスクと関連するかどうかを明らかにするため、研究者らは、2006~23年に収集されたスウェーデンの全国データを用いて、AUDと診断された患者約23万人(年齢範囲16~64歳)を同定した。追跡期間の中央値は約9年であった。
この研究は、各個人が自身の対照となる(研究対象薬の使用時または不使用時)個人内デザインを含んだ。semaglutideおよびliraglutideは、AUDによる入院のリスクがより低いことを伴った(ハザード比[hazard ratio:HR]はそれぞれ0.64および0.72)。AUD薬(すなわちnaltrexone、disulfiram、acamprosate)のうち、naltrexoneのみが入院リスクがより低いことを伴った(HR 0.86)。GLP-1作動薬は自殺に関連する入院の過剰リスクを伴わなかった。
CITATION(S)
Lähteenvuo M et al. Repurposing semaglutide and liraglutide for alcohol use disorder. JAMA Psychiatry 2025 Jan; 82:94. (https://doi.org/10.1001/jamapsychiatry.2024.3599)
コメント
GLP-1作動薬がAUD患者のアウトカムを改善できるかどうかを検討する臨床試験が進行中である。AUDに対してはより多くの治療選択肢が必要とされているが、米国FDAによって現在承認されているAUD治療薬は、米国では十分に使用されていない。アルコール使用による入院は治療を提供する良い機会である。なお、これらの薬物は、自殺という脅威の可能性が最近懸念されているにもかかわらず、リスクが高いこの集団において自殺と関連しなかった(NEJM JW Gen Med Oct 15 2024、JAMA Intern Med 2024 184:1290, 1301)。