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行動制限中の統合失調症に対する非経口抗精神病薬治療の比較検討について
(ロナセンテープ vs. ハロペリドール静注)
行動制限中の統合失調症に対する非経口抗精神病薬治療の比較検討について
(ロナセンテープ vs. ハロペリドール静注)
石塚卓也:最新精神医学, 27:61, 2022
本論文の著者は大日本住友製薬株式会社(現:住友ファーマ株式会社)より講演料、原稿料等を受領している。
※本データは使用実態調査に基づくエビデンス(後ろ向き研究)であるため、ロナセンテープの有効性・安全性については、国際共同第3相試験(検証的試験)もご参照ください。
試験概要
タイトル
行動制限中の統合失調症に対する非経口抗精神病薬治療の比較検討について
(ロナセンテープ vs. ハロペリドール静注)
目的
医療法人社団 碧水会長谷川病院の救急医療において、ロナセンテープによる治療が行われた患者とハロペリドール静注による治療が行われた患者の背景や効果、有害事象の発現、行動制限の解除までの時間などを比較した。
対象
2020年1月1日から2020年12月31日までに長谷川病院精神科救急・急性期病棟に入院となり、新たにロナセンテープもしくはハロペリドール静注による治療が行われた18~65歳の統合失調症患者※29例
※:DSM-5の診断基準により診断
試験デザイン
後ろ向き研究
方法
入院時の臨床全般印象度-疾病重症度(CGI-S)が中等症以上、かつ陽性症状陰性症状評価尺度(PANSS)の興奮版(EC)尺度が14点以上で拘束による行動制限を要した患者の日常診療記録を集計して後ろ向きに検討した。
評価項目
有効性評価項目
- 治療開始2週間後(もしくは最終投与時)のPANSS-ECスコアの変化量
- 陽性症状陰性症状評価尺度8項目(PANSS-8)スコアの変化量
- 臨床全般印象度-疾病改善度(CGI-I)
- 行動制限の解除までに要した日数
安全性評価項目
- 投与期間中の有害事象の有無
解析計画
- PANSS、CGIスコアは等分散解析の後、投与前後の値を対応のあるt検定にて比較した
- 各解析における有意水準はp<0.05とした
- 統計処理ソフトにはマイクロソフト社のエクセルを用いた
患者背景
- 本試験では平均年齢が約44歳で、罹病期間が3年以上、入院回数が2回以上の患者が大半を占めていました
- CGI-Sはやや重症以上が大半を占めていました
- 平均投与量はロナセンテープ群が80mg、ハロペリドール静注群が10mgでした
- ロナセンテープ群とハロペリドール静注群のベースライン時のPANSS-EC平均スコアは22.9、26.9、PANSS-8平均スコアは33.6、36.2でした
有効性評価項目
PANSS-ECスコアの推移〔有効性評価項目〕
- ロナセンテープ群におけるPANSS-ECスコアは、ベースライン時22.9、治療開始2週間後(もしくは最終投与時) 12.3であり、有意な低下が認められました(p<0.05、対応のあるt検定)
- ハロペリドール静注群でもそれぞれ26.9、11であり、有意な低下が認められました(p<0.05、対応のあるt検定)
PANSS-8スコアの推移〔有効性評価項目〕
- ロナセンテープ群におけるPANSS-8スコアは、ベースライン時33.6、治療開始2週間後(もしくは最終投与時) 22.3であり、有意な低下が認められました(p<0.05、対応のあるt検定)
- ハロペリドール静注群でもそれぞれ36.2、17であり、有意な低下が認められました(p<0.05、対応のあるt検定)
行動制限の解除までに要した日数〔有効性評価項目〕
- 行動制限の解除までに要した日数は、ロナセンテープ群11.5日、ハロペリドール静注群14.5日でした
投与期間中の有害事象の有無 〔安全性評価項目〕
- 本試験において、有害事象の発現は認められませんでした。
Expert’s Comment
精神科救急・急性期治療におけるロナセンテープ80mgの可能性
医療法人社団碧水会 長谷川病院 副院長 石塚 卓也 先生
長谷川病院精神科救急・急性期病棟に入院した統合失調症患者を対象にロナセンテープおよびハロペリドール静注の有用性を検討しました。
臨床の場では、入院後数日間はどうしても経口投与が困難な患者さんが一定数存在することは事実であり、非経口的な投与経路の薬剤を使用せざるを得ないのが実際のところです。
本検討ではロナセンテープとハロペリドール静注を比較したわけですが、両薬剤ともにPANSS-ECスコアおよびPANSS-8スコアを有意に低下させることが示されました。
また、行動制限の解除までに要した日数はそれぞれ11.5日、14.5日であることも示されました。
ロナセンテープは、貼付剤であることから非侵襲的な剤形とされ、また症状に応じて初回から最高用量の80mgが使用可能となっています。
そのため、例えば従来ハロペリドール静注で治療を開始されていた患者さんに対しては、心理的・身体的負担を考慮して、ロナセンテープが救急医療における選択肢の1つになるのではないでしょうか。
急性期統合失調症治療におけるロナセンテープの有効性と安全性:国際共同第3相試験(検証的試験)
急性期統合失調症患者さんに対する、ロナセンテープの国際共同第3相試験:検証的試験の結果はこちらからご覧ください。