ゼプリオンから ゼプリオンTRIへ切替時の有効性・安全性への影響 -トルコでの検討-

「禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください。

ゼプリオンからゼプリオンTRIへの切り替え
ー性機能障害、血中プロラクチン値の検討ー
(前向き観察研究、海外データ)(Preliminary Data)

Karslioğlu EH, et al.: Hum Psychopharmacol. 2022; 37(3): e2827-2837

ゼプリオン®からゼプリオンTRI®への切り替え前後で、血中プロラクチン濃度と性機能に変化があるかどうかを検討した研究は、開発製薬会社が実施した試験以外には本研究が初めてです。高プロラクチン血症に関するパリペリドンとその親化合物であるリスペリドンの比較試験はありますが、この点に関してゼプリオン®とゼプリオンTRI®を比較した試験はありません。その変化を検証するには大規模サンプルサイズを用いた前向き及び長期試験が必要となりますが、他ではまだ検討されていない研究結果となるため、最初の3ヵ月間の所見による予備調査結果を紹介します。

Limitation

  • 本研究は25例と症例数が少ないため、得られたデータの統計学的検出力が制限される。症例数が少なかったため、無作為化及び真の盲検化を利用することができなかった。また、統計解析の検出力と信頼性を高めるために、サンプルサイズの推定やベースライン共変量の調整などを行うことができなかった。
  • follow-up期間は性機能の変化や症候学的変化を検出するには不十分であった。
  • ASEXは、統合失調症患者の性機能を評価するという点で容易に適用可能な尺度であるが、ASEXを用いて性機能を多面的に評価することはできなかった。
  • 性機能に影響を及ぼす性的パートナーの存在、年齢、閉経などの因子に関して、本研究のサンプル群が均一でなかった。
  • 血中プロラクチン値と性機能の変化を調べるためには、大規模サンプルサイズを用いた前向き及び長期試験が必要である。

試験概要

目 的
統合失調症患者を対象とし、ゼプリオン®からゼプリオンTRI®に切り替えた際のプロラクチン濃度を比較し、プロラクチン濃度、性機能との関係を検討する。
対 象
DSM-Vの統合失調症の診断基準を満たしている18~65歳の外来患者25例(2018年6月~2019年1月)
投与方法
評価項目
血中プロラクチン値、Arizona Sexual Experience Scale(ASEX)など
解析計画
正規分布に適合しないと判定された変数で従属2群についてはWilcoxonの符号順位検定を用い、正規分布に適合した変数については対応のあるStudent t検定を用いて統計学的有意差を判定した。変数間の関係はSpearman相関検定を用いて検定し、相関係数が0と0.25の間では相関係数が低く、0.26と0.50の間では中程度、0.51と0.75の間では強く、0.76と1.00の間では非常に強いとした。統計学的有意差はp<0.05とした。
患者背景
対象25例のうち、年齢(平均値±標準偏差)は44.9±11.7歳(26~64歳)、男性は52.0%(13/25例)であった。罹患期間(平均値±標準偏差)は13.6±8.2年(3~40年)、パリペリドン製剤の投与期間(平均値±標準偏差)は27.8±19.4ヵ月(4~60ヵ月)であった。身体疾患を有していた症例は20.0%(5/25例)であり、抗精神病薬以外のプロラクチン濃度に影響を及ぼす可能性のある薬物は服用していなかった。

※ゼプリオンTRI®の承認された効能又は効果は「統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた場合に限る)」 である。

プロラクチンと性機能障害

ASEXの性的興奮サブスケールの変化量(V1-V0)と血中プロラクチン値の変化量(V1-V0)の間には統計学的に有意な正の強い相関が認められました(r=0.52; 名目上のp<0.05:Spearman相関検定)。

切り替え前後の血中プロラクチン値及びASEX

※V0:ゼプリオン®最終フォローアップ診察時、V1:ゼプリオンTRI®単回投与90±15日後

性機能の変化

ゼプリオン®からゼプリオンTRI®への切り替え前後の発現率

#1 性機能障害:性機能障害の基準は、ASEX総スコアが少なくとも19、いずれかの項目でスコアが少なくとも5、または少なくとも3項目でスコアが少なくとも4、と定義された。
※V0:ゼプリオン®最終フォローアップ診察時、V1:ゼプリオンTRI®単回投与90±15日後

  • 本論文中に、副作用の発現例数及び発現率、主な副作用、死亡を含む重篤な副作用、投与中止に至った副作用について、記載がありませんでした。電子添文の安全性情報をご参照ください。

統合失調症患者におけるセクシュアリティ

Assalian P, et al.: Int J Psychiatry Clin Pract. 2000; 4(1): 29-33

  • セクシュアリティ、性的関係、性的機能は統合失調症患者にとって重要なQOLの問題です。
  • 患者のwellbeingの評価の一部として、QOLアンケートにセクシュアリティの重要性を反映させるべきです。
  • 精神科リハビリテーションプログラムでは、性における患者の知識と心理社会的スキルを高めることによって、患者がこの領域のニーズに対応できるよう、トレーニングの一環として性教育を取り入れることが推奨されます。
  • 継続診療を行うクリニックの医師は、性にかかわる問題を認識し、薬剤の性機能に及ぼす副作用、性行為、その安全な実践などについて患者に聞き取りをするべきです。

Arizona Sexual Experience Scale(ASEX)

McGahuey CA, et al.: J Sex Marital Ther. 2000; 26(1): 25-40

ASEXとは、下記5項目の質問項目で、患者の性機能について短時間かつ簡便に評価できるスコアです。 各項目に対して、1~6の6段階で評価を行い、総得点5~30点で評価します。点数が高いほど患者の性機能が障害されていることを意味します。


ゼプリオンTRI国際共同臨床第Ⅲ相試験(PSY-3011試験)
(ランダム化・多施設共同・二重盲検・非劣性試験)(海外データ、日本人を含む)

ゼプリオンTRI国際共同臨床第Ⅲ相試験(PSY-3011試験)(ランダム化・多施設共同・二重盲検・非劣性試験)(海外データ、日本人を含む)

ゼプリオンTRI国際共同臨床第Ⅲ相試験(PSY-3011試験)の結果はこちらからご確認ください。

ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ/水懸筋注50mgシリンジ/水懸筋注75mgシリンジ/水懸筋注100mgシリンジ/水懸筋注150mgシリンジの製品基本情報(適正使用情報など)

ゼプリオンTRI水懸筋注175mgシリンジ/水懸筋注263mgシリンジ/水懸筋注350mgシリンジ/水懸筋注525mgシリンジの製品基本情報(適正使用情報など)