細菌性髄膜炎の疑いに対して経験的に開始されたdexamethasoneは、最終的にウイルス性であることが確認された場合の、不良なアウトカムと関連しなかった。
抗菌薬の初回投与前または初回投与と同時に開始された補助的なdexamethasoneは、肺炎球菌またはHaemophilus Bによる市中感染の髄膜炎患者において有益であることが証明されている。最初起炎菌が不明な場合、多くの患者は、これら2つの細菌が病因であることが除外されるまでdexamethasoneの投与を受ける。
最終的にウイルス性髄膜炎と診断された患者において、最初のdexamethasone投与がアウトカムに影響を及ぼすかどうかを明らかにするため、デンマークの研究者らは、ウイルス性髄膜炎で入院した患者1,025人(年齢中央値33歳)を含んだ観察研究を実施した。全体で、患者の64%はdexamethasone投与を受けず、36%は1回以上の投与を受けた。dexamethasone投与(投与回数にかかわらず)は30日時点のアウトカム不良を伴わず、入院期間の中央値はdexamethasone投与患者と非投与患者とのあいだで差がなかった。
CITATION(S)
Petersen PT et al. Dexamethasone in adults with viral meningitis: An observational cohort study. Clin Microbiol Infect 2024 Aug 23; [e-pub]. (https://doi.org/10.1016/j.cmi.2024.08.015)
コメント
中枢神経系感染症に対してdexamethasoneを投与することは、肺炎球菌およびHaemophilus Bを有する患者に利益をもたらすが、微生物学的原因が確認される前に開始しなければならないというジレンマを抱えている。これらの結果は、このような診療がウイルス性髄膜炎の状況においては有害ではなさそうであると示していて、安心できるものである。それでもなお、dexamethasoneは、細菌による病因が除外されれば直ちに中止されるべきである。