糖尿病早期治療の重要性を考える~膵β細胞機能維持を目指した糖尿病治療戦略~

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​【演者】寺内 康夫先生(横浜市立大学大学院医学研究科 分子内分泌・糖尿病内科学 教授)

社会における糖尿病の知識不足、誤ったイメージの拡散により、糖尿病をもつ人は「特定の属性に対して刻まれる負の烙印=スティグマ」(社会的偏見による差別)にさらされる。例えば、糖尿病をもつ人は短命であると言われ、糖尿病に対する負のイメージを高めている。
スティグマを放置すると、糖尿病であることを周囲に隠す→適切な治療の機会損失→重症化→医療費増→社会保障を脅かすという悪循環に陥る。私たちは、ある医療機関の糖尿病をもつ人の死亡記録に基づき、40歳患者の平均余命は糖尿病をもたない人と大きな差がないことを報告した1)。糖尿病の正しい理解を促進する活動を通じ、糖尿病をもつ人が安心して社会生活を送り、人生100年時代の日本でいきいきと過ごすことができる社会形成を目指す活動(アドボカシー活動)を展開する必要があることをまず強調したい。糖尿病の薬物治療の開始や強化が遅れがちなことは日本のみならず、世界的な問題である。患者の治療強化の必要性があると認識していながら、これまでの治療を続けてしまうことはClinical Inertia(臨床的慣性)と呼ばれ、糖尿病治療ガイドにも「治療開始・治療強化の遅れ」が問題となっていることが明記されている2)。治療強化にあたっては患者の心理的抵抗感だけではなく、医療者側にも治療強化のハードルが存在することを自覚する必要があり、医療者・患者間のギャップを埋めることが肝心である。
糖尿病と診断がついた時点で膵β細胞機能は既に50%程度低下していると報告されており3)、膵β細胞機能が残存しているうちに血糖値を低下させ、膵β細胞機能や膵β細胞量を保持することが糖尿病の病態を考える際に重要である。本セミナーでは「膵β細胞保護」に関わる最近の研究成果を紹介し、治療戦略について考察する。
最後に、早期治療強化に適した薬剤はどのようなものか、DPP-4阻害薬とメトホルミンの併用療法の意義も含めて概説する。
1)Goto A, et al. J Diabetes Investig. 11:52-54, 2020
2)日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023, P.45, 文光堂, 2022
3)Kendall DM, et al. Am J Med. 122:S37-S50, 2009


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