臨床研究から探る２型糖尿病治療におけるイメグリミンの活躍場所

【演者】野本 博司先生（旭川医科大学 内科学講座 内分泌・代謝・膠原病内科学分野 教授）

２型糖尿病の発症・進展には種々の要因が関与し、人種差による病態の違いも大きい。
しかしながら、病状の進行とともに膵β細胞の機能や量が低下することは共通した病態基盤であり、その機序の解明や進行の防止は重要な課題である。糖尿病病態のもう一つの問題は、このような膵β細胞機能の低下に伴い生じてくる血糖変動の増大である。不安定な血糖変動は大血管障害の発症や進展などに影響を及ぼすことが明らかとなっており、さらに治療によって引き起こされる低血糖は血管合併症や認知症のリスク因子であることも示されている。
そこでわれわれは、メトホルミンで治療中の2型糖尿病のある入院患者を対象に、イメグリミンの追加投与が血糖変動に及ぼす影響をメトホルミン増量と比較検討した。イメグリミンの有する作用を膵β細胞への影響も含め基礎・臨床の両面から再考し、私たちの臨床研究も交えて同薬の日常臨床における活躍の場について考えてみたい。

---