ロナセンテープの皮膚症状の発現率と予防・治療


皮膚症状の予防・治療

ロナセンテープの皮膚症状予防のポイント

ロナセンテープの皮膚症状の予防のために、下記のような点に注意して使用することが大切です。

経皮吸収型製剤による皮膚の副作用予防のためのスキンケア

水分保湿能の高いヘパリン類似物質含有製剤や尿素含有製剤によるスキンケアで皮膚のバリア機能を高めることができます。

薬剤カテゴリ 代表的な製品名 作用と特徴
ヘパリン類似物質
含有製剤
ヒルドイド®
など
・ヘパリン類似物質はその水分保有能により高い保湿効果を発揮するほか、血行促進作用も有する
・皮膚への剌激性がなく、ベタつきも少ないが、製剤の種類によリわずかな匂いがある
尿素含有製剤

ケラチナミンコーワ®
ウレパール®
パスタロン®
など
・尿素がもつ水分保有能を利用したもので、保湿効果より角質層を柔らかくする効果があるが、これが剌激反応を起こす場合がある
・ベタつきは少ない
油脂性基剤型製剤
(ワセリンなど)

白色ワセリン
プロペト®
など

・油脂成分が皮表を覆って水分の蒸発を防ぐことで、角質層における水分の貯留を促す
・皮膚への剌激性はほとんどないが、ベタつきがある

ビタミン類含有製剤

ユベラ®軟膏
ザーネ®軟膏
など
・ビタミンAによる皮膚乾燥抑制作用がある(製剤により血行促進作用のあるビタミンEを配合したものもある)
・ベタつきは少ない

大谷道輝/宮地良樹(編集). 薬局で役立つ皮膚科治療薬FAQ, メディカルレビュ一社 2010より改変作成



塩原哲夫、大谷道輝 監修:臨床に役立つ 経皮吸収型製剤を使いこなすためのQ&A p26, アルタ出版 2012



経皮吸収型製剤の副作用としての皮膚症状

経皮吸収型製剤の皮膚症状としては、皮膚が赤くなる紅斑と、ブツブツができる丘疹が大半です。
また、かゆみが生じることが多いほか、皮膚がヒリヒリしたり、痛みを伴うこともあります。

塩原哲夫、大谷道輝 監修:臨床に役立つ 経皮吸収型製剤を使いこなすためのQ&A p26, アルタ出版 2012


刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎の見た目の違い

経皮吸収型製剤による皮膚の副作用が発現した場合、皮膚炎の形状や表面の状態と時間経過による変化をもとに、刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎を見極めることが、その後の対応のポイントとなります。
刺激性接触皮膚炎では製剤をはがした後、1~2日で紅斑が薄くなって消失します。一方、アレルギー性接触皮膚炎では、製剤をはがした後も症状が軽減せずに悪化する場合が多いのが特徴で、時間経過とともに紅斑や丘疹・水疱がより著明になり、形状が拡大していく傾向がみられます。

塩原哲夫、大谷道輝 監修:臨床に役立つ 経皮吸収型製剤を使いこなすためのQ&A p26, アルタ出版 2012


皮膚症状発現時の対処法

日本皮膚科学会による『接触皮膚炎診療ガイドライン』では、刺激性接触皮膚炎が疑われる場合で、紅斑が続くようであれば、保湿剤に加えてステロイド外用剤(標準的にはストロングクラス)の使用が推奨されています。紅斑に加えて、かゆみを伴う場合も、基本的にはステロイド外用剤のみでの対処が可能です。ただし、軽度なかゆみの副作用に対してステロイド外用剤を投与することに抵抗がある場合や、患者さんがステロイド外用剤を使うことに難色を示す場合には、抗ヒスタミン剤(主に経口剤)による治療を行ってもよいとされています。これらの治療によっても症状が改善しない場合には、経皮吸収型製剤を休薬、あるいは投与中止することが推奨されます。
アレルギー性接触皮膚炎が疑われる場合には、経皮吸収型製剤の投与を中止することが推奨されています。

ステロイド外用剤は薬効ランクにより、ストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム、ウィークの5段階に分類されます。
経皮吸収型製剤の皮膚症状に対しては、ストロングクラスの薬剤が推奨されます。

薬効ランク 一般名 代表的な製剤名
ストロンゲスト
クロベタゾールプロピオン酸エステル
ジフロラゾン酢酸エステル
デルモベート®
ジフラール®、ダイアコート®

ベリーストロング
モメタゾンフランカルボン酸エステル
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル
フルオシノニド
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル
ジフルプレドナート
アムシノニド
ジフルコルトロン吉草酸エステル
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン
フルメタ®
アンテベート®
トプシム®
リンデロン®-DP
マイザー®
ビスダーム®
テクスメテン®、ネリゾナ®
パンデル®
ストロング


デプロドンプロピオン酸エステル
デキサメタゾンプロピオン酸エステル
デキサメタゾン吉草酸エステル
ベタメタゾン吉草酸エステル
ベクロメタゾンプロピオン酸エステル
フルオシノロンアセトニド
エクラー®
メサデルム®
ボアラ®、ザルックス®※
ベトネベート®、リンデロン®-V
プロパデルム®※
フルコート®
ミディアム

プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
卜リアムシノロンアセトニド
アルクロメタゾンプロピオン酸エステル
クロベタゾン酪酸エステル
ヒドロコルチゾン酪酸エステル
デキサメタゾン
リドメックス®
レダコート®、ケナコルト-A®※
アルメタ®
キンダベート®
ロコイド®
オイラゾン®
ウィーク

プレドニゾロン
プレドニゾロン®

ステロイド外用剤の薬効ランク別分類
日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 日皮会誌 119:1515-1534、2009より改変

塩原哲夫、大谷道輝 監修:臨床に役立つ 経皮吸収型製剤を使いこなすためのQ&A p36, アルタ出版 2012(一部改変)
※販売中止(2019年10月現在)