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【POINT.2】親身に接しつつも、患者さんとの「一定の距離感」を保つことが必要
野口 勇樹 氏サワカミ薬局おいらせ青葉店/管理薬剤師
設計段階から医師のアドバイスも参考に、プライバシー・居心地重視の構造設備を実現
患者さんの服薬指導やフォローアップについては、基本的に内科も精神科も違いはありませんので当然、親身になって話を聞きます。しかし、精神科疾患の患者さんの場合には、一定の距離感が必要です。あまり踏み込み過ぎないように気を付けています。
疾患の性質上、ある程度その人のプライベートに入り込むところもあるので、踏み込みすぎると、精神的に依存されてしまうこともあります。医師に対して、「先生の顔を見に来た」と、ある意味では信者のような方もいらっしゃいます。薬剤師としてもある程度、患者さんとの関係性は仕事としての一定の線を引く必要があると思います。とはいうものの、線を引くのは意外と難しいのは事実です。
個々の患者対応はとても大事ですが、薬局自体の構造設備もとても重要です。私が配属される前ですが、設計段階から同クリニックの先生からアドバイスをもらい、薬局に移動してきた時に違和感が少ないように雰囲気を含め配慮しています。
患者さん同士が顔を合わせたくない場合や、小さなお子さんが患者さんで目が離せない場合、また、待合室に居続けられないという患者さんもいらっしゃいます。クリニックの場合には、完全予約制ですし車のなかで直前まで待機し、呼ばれてから行くということもできます。しかし、薬局の場合にはそうはいきません。そこでドライブスルー受付を設置しています。これは他店舗には無い形です。
また、人の目が気にならないようにと、店内の二人掛けソファー3つは、それぞれ座った状態では互いが見えないよう背もたれを高くしています。また、投薬窓口は2つありますが、戸を閉めれば個室にもなる構造です。通常は半個室ですが、戸を締めたいという患者さんは締めます。また、この店舗だけは患者さんを番号でお呼びするようにしています。
待合室の様子
プライバシーに配慮した投薬窓口
“薬を減らす”を目指す上で、欠かせない情報提供、フォローによる「不安」への対処
このクリニックの先生は薬を減らし、患者さんが社会復帰できることを目指しています。実際に症状が安定して復職、転職したりする患者さんが多くいらっしゃいます。従って、今後チャレンジしてきたいこととしては、そのための情報提供とフォローアップに注力したいと思っています。患者さん自身は、薬が減ることを不安に感じる方も少なくありません。安心して薬が減らせるようにフォローすることが薬剤師として重要な役割だと思っています。
一方、発達障害の場合は薬を減らすのではなく、安定した量で続けていくとことが基本になります。今後、新しい薬が出てくると思いますので、疾患に関する知識・知見を含めアップデートして、患者さんを支援していくことが目標です。やはり若い学生や働いている人も多いので、学校や職場への行きづらさを少しでも減らすことに貢献できればなと思っています。
また、患者さんのフォローアップは、主にその時に担当した薬剤師がする形になりますが、それぞれでタイミングも若干違います。TRで伝える内容も若干違ってくる部分があり、統一されないと先生も読みづらくなってしまいます。前回と処方が変わった、変わらないかった場合とでは違ってきます。そのための必要な情報も変わりますので、そういう点も洗い出していけたらなと思っています。薬局全体として統一感をもち、全体としてレベルアップしていきたいと思っています。