【第1回】薬剤師と管理栄養士の連携について

末延 竜哉氏株式会社サンキュードラッグ コミュニティケア事業部在宅支援在宅マネージャー


地域生活の中で、気軽に体調や疾病・薬の相談ができる薬局やドラッグストアは健康増進・支援のためのプラットフォームとしての役割を担っています。暮らしの中で「薬局薬剤師」がもつ役割は大きく分類すると次の4つがあります。(図)

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出典:厚生労働省 平成27年度在宅医療関連講師人材養成事業資料

  • ファーストアクセス:OTC販売や健康相談を受けるセルフメディケーション支援の業務
  • ラストアクセス:医療用医薬品を適正に安全に供給する処方箋調剤業務
  • ソーシャルアクセス:学校薬剤師、スポーツファーマシスト、災害時等の地域業務
  • チームアクセス:在宅医療を通して地域包括ケアシステムの一員を担う業務

健康を支えるという使命を通して地域住人、医療機関、社会と繋がっている我々薬剤師にとって、栄養士も連携を図る大切なパートナーの一員です。北九州・下関エリアで地域密着型のサービスを展開しているサンキュードラッグは管理栄養士も在籍しています。

弊社の管理栄養士は薬局でいうところのファーストアクセスの機能を持ち健康をサポートしています。店頭でマンツーマンで生活習慣病や転倒防止、ダイエットなどの目的に応じた栄養や運動のサポートを行う「スマイルクラブ」や、集団で運動を実施する「スマイル体操教室」により疾病予防や健康増進の取り組みを行っています。

また、チームアクセスとしての機能も持っています。薬局の管理栄養士は介護保険の利用(居宅療養管理指導費の算定)ができませんので自費による栄養相談を行い、居宅療養中の高齢者が栄養と食事の面で少しでも安心・安全に過ごせるように活動しています。また、栄養アセスメントを実施し、在宅に係る多職種への情報共有も行います。

調剤薬局の業務の重心が対物業務から対人業務へシフトしている中で、薬剤師に求められる知識は幅広く多岐にわたります。皆様におかれましても対面する患者様の食生活や栄養状態について、血液検査の結果や体重、聞き取りの内容、容姿の変化等からチェックや指導を実施されていると思います。しかし、薬剤師として不足している栄養素は把握できても、それを補うためのレシピや一般に販売されている栄養補助食品の情報を提供することは困難だと思います。そのようなとき、身近に栄養支援の相談ができる管理栄養士がいるとどうでしょうか。

薬剤師、管理栄養士はお互いが患者さんの健康上の問題点を見つけ、どのような対応が必要であるか検討し評価することができます。それぞれが問題点を解決する職能を持っているのであれば連携して共同して指導を行うことでより良い支援ができると思います。

  1. 厚生労働省 平成27年度在宅医療関連講師人材養成事業資料

    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000195881.pdf