佐藤 ユリ氏NPO法人どんぐり未来塾 代表理事


平成27年に患者のための薬局ビジョンが策定され、かかりつけ薬剤師としての役割の発揮に向け、薬剤師の対人業務への期待が高まっています。それに伴い令和2年改正薬機法・薬剤師法が施行され、処方箋を受け付けた際の薬局窓口での服薬指導だけでなく、継続的な服薬状況の把握と服薬指導が義務化されました。令和4年診療報酬改定では、リフィル処方箋も解禁されました。このような中で、薬剤師に求められる重要な役割の一つに、患者さんが安全に安心して薬物療法を続けられるよう副作用モニタリングを行うことが挙げられます。

しかし、副作用モニタリングを行うなかで、いつも同じ副作用の確認になってしまう、副作用が疑われる症状が発現した時の対応に悩んでしまうことはないでしょうか?

今回ご紹介する「副作用機序別分類」を活用すると、服用期間に合わせた副作用の情報提供やモニタリング、副作用発現時の服薬継続可否についての判断や、根拠を持った医師への情報提供ができるようになります。

「副作用機序別分類」では、添付文書に記載されている臓器別の副作用を3つの発生機序「薬理作用」「薬物毒性」「薬物過敏症」に分類して考えます。

  1. 「薬理作用」による副作用

    薬理作用による副作用は、薬理作用が過剰に発現して起こる症状や期待される薬理作用以外の副次的な薬理作用による症状があります。服用期間中は常にモニタリングする副作用ですが、薬の増量時、併用薬との相互作用などで血中濃度上昇が予測される場合は、特に注意が必要です。

  2. 「薬物毒性」による副作用

    薬物毒性による副作用は、薬の代謝負荷や通過刺激によって起こるものと、臓器を直接刺激して起こるものがあります。直接刺激で起こるもの以外は、投与期間が長いほど発現する可能性が高くなりますが、急激に悪化する副作用ではないため、薬剤師が検査値の推移からモニタリングできる副作用です。薬物の代謝・排泄器官である肝臓・腎臓は、他の臓器に比べ薬物毒性が発現しやすい臓器です。また、消化管・血液などは、薬理活性がある状態で薬が通過するため通過刺激による薬物毒性が起こる可能性があると考えられます。

  3. 「薬物過敏症」による副作用

    薬物過敏症による副作用は、薬理作用や薬物毒性による副作用と異なり起きたらすぐに投与中止が必要な副作用です。また、薬に対する抗体が作られるため一度薬物過敏症による副作用を起こした薬は、原則二度と使用しないことが重要です。薬物過敏症による副作用は、命に関わることがあるのでしっかり見極める必要があります。