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【第1回】病院との連携と、薬局の標準手順
下川 友香理氏総合メディカル株式会社 上席執行役員 薬局事業本部長 学術情報部長
私の所属する学術情報部は、本社の育成推進部署で専門性を有する薬剤師の教育を担当しています。外来がん薬物治療に携わる薬剤師の育成プログラムの開発・運営や、専門資格の取得支援を行うと共に、専門医療機関連携薬局の認定取得推進も行っています。
2022年3月まで、そうごう薬局 天神中央店(福岡市)に勤務していました。当薬局は2021年8月に専門医療機関連携薬局に認定されました。私は当薬局で外来がん治療に携わる薬剤師として勤務し、近隣のがん診療連携拠点病院と2010年より10年以上にわたって連携を深めてまいりました。2015年には外来がん治療認定薬剤師(日本臨床腫瘍薬学会)に認定され、これまでに外来がん治療認定薬剤師を10名(みこみ含)育成しました。
連携と同時に薬局内に結成したがんチームは「患者にとって最適な治療の効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えることで治療の継続を支援すること」を目的としています。この目的を共有し、チームとして一丸となって活動することで、各自のモチベーションを維持し、ぶれのない環境を作り出しました。
病院との合同勉強会を通じて、副作用発現時の対処方法・支持療法、経口抗がん薬を飲み忘れた場合の対処方法などを病院薬剤部と共有しています。トレーシングレポートや薬薬連携シートによって、病院へのフィードバックを行ってきました。これらの取り組みにより、患者への指導は病院と齟齬のないものになってきましたが、薬局の薬剤師ごとや応対ごとに、応対内容にばらつきがあることが課題となりました。
そこで、応対の標準的・効率的な手順を構築することとし、「外来がん薬物治療患者における保険薬局版クリニカルパス」の作成と運用を行いました。
「外来がん薬物治療患者における保険薬局版クリニカルパス」は、レジメン毎や薬剤毎の手順書ではなく、がん患者が来局された際に、どのようなステップで応対するかを図式化しています。初回のクリニカルパスでは「患者の受ける治療法や副作用予防の支持療法、生活状況や気持ち・理解度のベースとなる情報の確認」を行い、治療目的を把握します。2回目以降は「アドヒアランスや副作用発現状況の確認、治療継続に支障を及ぼす問題点の把握・対処」を行うこととしています。
外来がん薬物治療患者支援手順の全体像
クリニカルパスの運用により、薬局内での応対内容の一貫性が確保されると同時に、新しいメンバーの教育にも役立っています。このように、薬局内での共通目的を持ちベクトルを合わせ、病院との連携、薬局内の応対の標準化を行うことが外来がん薬物治療支援のための第一歩となります。