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【第3回】次世代につなげるためにできることは
長谷川 洋一氏名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センター教授
最近、いろいろな所でよく耳にするSGDs(Sustainable Development Goals)には、私たちが持続可能な社会の実現のためにやらなければならないことを目標として掲げています。
2030年までに、幅広い観点から「貧困」「飢餓」「ジェンダーと平等」「経済成長」等の17の課題・目標を達成することが持続可能な社会への実現のための一歩とされています。
外務省国際協力局編資料「持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組」より引用
街中を歩いていても、毎日の通勤電車の中でも、胸元にSDGsのバッチを付けたサラリーマンらしき人が必ずと言っていいほど目に入ってきます。企業ばかりでなく、自治体や教育現場においても、社会を考えるきっかけとして、さまざまな場面に浸透しつつあります。
その目標の中に「健康や福祉」「教育」「環境問題」があります。これらは薬剤師に関係の深い目標といったところでしょうか。具体的には、人々の健康をいかに維持していくか、専門領域を継承するための人材育成などの教育や研究、化合物が与える環境への影響と改善への取り組みなどがあげられます。
一方、平成18年(2006年)から6年制薬学教育がスタートし、15年以上が経過しました。国家試験に合格した毎年約1万人の新たな薬剤師が誕生すると考えると、6年制薬学教育を終えて卒業した薬剤師は、既に10万人を超えています。また、2年ごとの医師歯科医師薬剤師届出調査では、令和4年(2022年)末時点で約32万3千人の薬剤師がいるわけですから、おおよそ3分の1の薬剤師が6年制過程終了者ということになります。このペースでいけば、2030年には、3分の2の約20万人が6年制薬学教育を終えた薬剤師になります。確実に世代も交代し、6年制教育の成果が表われてくるのではないでしょうか。
私たちは、今をいかに生きるかを考えるのが精いっぱいかもしれませんが、今の様々な取り組みが10年、20年後につながっているということをイメージすることを忘れてはならないと思います。
そして、持続した社会を次世代につなげるために最も必要なことは若い世代にチャンスを提供し、後継者を育てていくことではないでしょうか。