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【第4回】口腔ケアに関する薬剤師専用認定資格試験の開始と薬学教育モデル・コア・カリキュラムに謳われた「口腔ケア」の臨床実習での実践
山浦 克典氏慶應義塾大学薬学部 医療薬学・社会連携センター 社会薬学部門 教授 / 附属薬局 薬局長
2022年4月「口腔ケア大阪宣言」の中で、薬剤師の口腔ケアへの参画に加え、“薬学部の薬剤師教育における口腔ケア領域の充実”がうたわれた。また、2023年2月に文部科学省が公表した薬学教育モデル・コア・カリキュラム令和4年度改訂版には、初めて「口腔ケア」の文字が記された※1。このように、薬学教育の現場において口腔ケア領域の重要性は年々増している。
我々の調査研究では、多くの薬局薬剤師が口腔ケアに関心があり、口腔の健康サポートは薬剤師の役割でもあることを認識するも、口腔ケア領域の知識不足により来局者の相談対応に自信が持てないことを明らかにしてきた。日本口腔ケア学会は、2022年4月より薬剤師専用の認定資格「薬剤師5級」を新設し※2、2023年11月からは「薬剤師4級」の認定も開始した。学会認定資格の取得は、口腔ケアの基礎知識を備えた薬剤師として自信をもった相談対応につながると思われる。
薬局薬剤師が口腔内フィジカルアセスメントを通じて、地域住民の口腔内の諸問題を早期発見し歯科医師に繋ぐ、言わば地域医療のハブの役割を担うことで、健康寿命の延伸に貢献できると考え、2023年4月、日本口腔ケア学会薬剤師部会では、薬剤師を対象に口腔内フィジカルアセスメントの技能修得を目的とするハンズオンセミナーを開催した。口腔内はペンライトがあれば非侵襲的肉眼観察が可能な部位である。薬剤師は、副作用の番人として、口腔カンジダ症、口腔乾燥症、口腔粘膜炎などの早期発見のため、副作用のリスクのある薬剤と服用する患者の口腔内アセスメントを実施すべきである。
日本口腔ケア学会では、口腔ケアに取り組む薬剤師の裾野を広げるべく、全国の薬学部の学生が薬剤師免許なしでも資格取得できる「口腔ケアアンバサダー(下図)」の受験料を無償とする特例措置を2022年10月より開始した。
口腔ケアアンバサダー
https://ambassador.oralcare-jp.org/
2024年3月現在1,200 人を超える薬学生アンバサダーが誕生しており、薬学生の口腔ケアへの関心の高さが伺える。口腔ケアアンバサダーとなった薬学生の殆どが、3年次後期に資格を取得しており、口腔の基礎知識を備えたアンバサダーとして4~5年次に病院・薬局で臨床実習をすることから、実習生を指導する立場の認定実務実習指導薬剤師は薬剤師専用の口腔ケア上位資格である「薬剤師4級または5級」を取得して、口腔ケアに関する視点を加えた効果的な臨床実習の場を実習生に提供することが期待される。
- 薬学教育モデル・コア・カリキュラム令和4年度改訂版. 文部科学省ホームページ
https://www.mext.go.jp/content/20230227-mxt_igaku-100000058_01.pdf(2024.3.38閲覧)
- 薬剤師は口腔ケアに関与を. 薬事日報. 第12607号. 2022年6月10日.
[参考文献]