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【第4回】更年期〜老年期
中村 由喜氏TAYA研究会 代表/あおぞら薬局富士見店 管理薬剤師
更年期〜老年期は、女性ホルモンが徐々に減少し、心身ともに多くの症状に悩まされる時期です。老年期を元気に過ごすためには、生活習慣病や骨粗鬆症、頻尿など、この時期に多い症状に関する正しい知識を持つこと、そして周囲とのつながりを持つことが欠かせません。これらをすこしでも早くから知ってもらうために薬局薬剤師の地域健康支援が求められています。
更年期は50歳を境に前後10年間とされています。女性ホルモンは身体の健康維持に重要な役割をはたしていますが、枯渇期には広範な体調不良と抑うつ、精神疲労などをきたします。私自身も振り返ってみると、あんなにイライラして感情の起伏があったのは更年期だったとのかと後になって気がつきました。
更年期の女性は、不調の原因を特定できずにいくつもの医療機関を受診するケースや、仕事や子育て・介護などに追われ適切な医療機関を受診できないケースなど、不調を抱えたままの状態であることが多く見られます。薬局でも、受診や検診について適切な情報を提供するなど、すぐにできる支援があるはずです。
更年期に現れる様々な症状のうち器質的変化に起因しない症状を更年期症状、この症状により日常生活に支障をきたす病態を更年期障害と定義されています。更年期障害には卵巣機能の低下に加え、加齢に伴う身体的変化、精神・心理的要因、生活環境などが影響するといわれています。
私たちの薬局の掲示物では、更年期における多種多様な症状を解説し、「その不調は更年期かも」と考えてもらうきっかけとなるような情報を提供をしています。また、ホルモン補充療法などの治療に関する情報も紹介しています。加齢とともに起こる不調が自分だけでないことを知ってもらうとともに、男性更年期についても紹介し、女性だけではないこともお伝えしています。
女性ホルモンの一つであるエストロゲンの欠乏に伴う更年期障害の症状は高血圧、高脂血症、骨粗鬆症、足腰の痛み、過活動膀胱など様々あるため、患者さんは医療機関を受診する機会が増えていきます。おくすり手帳の活用、かかりつけ薬剤師の必要性を患者さんに説明し、ポリファーマシーを防ぐことも薬局の重要な役割になります。
老年期には、お年寄りが社会から孤立しないように薬局でも支援することが大切です。
私たちの薬局では、地域包括支援センターと連携し患者さんの様子を情報提供するなど、地域で連携してお年寄りを見守っています。
また、薬局では毎月一回「がんサロン」を開催して、自身の病や大事な家族・友人との別れを経験した妙齢の女性方がお茶をしながら日々の生活で思うことなどを対話する場を提供しています。女性はおしゃべりが好きですし、話す・笑う・泣くという行動は明日にむかうエネルギーになります。私自身もこのサロンで、薬剤師として時々講演をしていますが、集まった女性たちと、人生100年時代をどう生き抜くかを共に考えていると、女性には生きるパワーがあることを感じます。
全4回のコラムを通して、女性の健康支援として薬局でどのような活動ができるのかを紹介してきました。薬局は様々な年代の方が利用し、10年以上の長い関係を築くこともできます。女性のライフコースにあわせた適切な情報を提供することや、患者さんの相談相手になることで、薬局でも女性の健康支援ができるはずです。つたないコラムでしたが、薬局薬剤師として地域でできることの参考になれば幸いです。ありがとうございました。