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原発性胆汁性胆管炎(PBC)と睡眠障害
このページのまとめ
PBC患者さんの約半数がかゆみによる睡眠障害を訴えています。
PBC及び肝硬変の患者さんは健康成人と比較して、睡眠開始時間に遅れがあります。
PBC患者さんにおいて、かゆみのある患者さんは入眠までにかかる時間が有意に延長します。
PBCによるかゆみと睡眠障害の状況
黄疸や肝硬変では症状が進行するとかゆみが出現します。特に原発性胆汁性胆管炎(Primary biliary cholangitis:PBC)では睡眠障害をきたすほどのかゆみを呈することが知られています。このかゆみは抗ヒスタミン薬抵抗性の難治性である場合もあり、PBC患者さんの約半数がかゆみによる睡眠障害を訴えています。
これを裏付けるアンケート調査1)を米国のThe PBCers Organization※が実施しています。この調査では「かゆみはありますか?」との質問に対し69%(165例)が「はい」と回答し、さらに「はい」と回答した患者さんのうち74%(120例)が「かゆみによって睡眠が妨げられた」と回答しました。つまりPBC患者さんの約半数がかゆみによる睡眠障害を訴えていることになります。
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The PBCers Organization: PBCと他の自己免疫性肝疾患の患者さんをサポートする団体
PBCのかゆみが睡眠開始時間へ与える影響
また、PBC及び肝硬変の患者さんは健康成人に比較して、睡眠開始時間に遅れがあることを明らかにした調査もあります2)。
PBC患者さん74例、肝硬変患者さん60例、健康成人79例を対象に睡眠の質やタイミングについて調査し、比較検討を行いました。結果、PBC及び肝硬変の患者さんは健康成人と比較して有意に睡眠の開始時間に遅れがあることが示されました(それぞれ入眠時刻は23:18±01:00、23:30±01:00、22:54±00:54、p<0.05、One-way ANOVA)。
さらにこの調査では、PBC患者さんのかゆみと睡眠障害に関する検討も行っています2)。
PBC患者さんのうち「かゆみあり」17例、「かゆみなし」48例、健康成人79例を対象として、先ほどと同様に睡眠の質とタイミングについて調査しました。結果、かゆみのあるPBC患者さんは、かゆみのないPBC患者さん及び健康成人と比較して、入眠までの時間が有意に長くなっていることが明らかになりました。
このように慢性肝疾患の“かゆみ”は睡眠の質にも大きな影響を与えていることがわかります。
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Rishe E. et al.: Acta Derm Venereol. 88(1):34, 2008
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Montagnese S. et al.: Liver Int. 33:203, 2013