【第2回】在宅医療の種類と薬剤師の関わり〜個人在宅と施設在宅〜

小林 輝信氏合同会社Sparkle Relation 代表、フォーライフ薬局 管理薬剤師


薬剤師が関わる在宅医療には様々な種類があり、大きく分けると「個人在宅系」と「施設系在宅」の2つに分類されます。「個人在宅系」、「施設在宅系」では、規模や制度の違いにより下図のように分類されると考えられます。

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在宅医療の分類(小林氏作成)

居宅療養管理指導・在宅訪問薬剤管理指導で見ると、一部を除き、特別養護老人ホームや介護老人保健施設の算定は認められていません。

個人在宅系で見てみると、非がん患者に分類される認知症や慢性疾患などの既往歴の患者が中心となります。さらに独居や老老介護・認認介護などの生活背景を勘案し患者個人に合わせた薬剤管理が必要となります。

がん患者ではペインコントロールを必要とすることが多く、内服薬、貼付薬、注射剤などの医療用麻薬が使用されることが多くなります。また、高カロリー輸液などを使用されることもあります。

小児在宅医療においては、更に事細かい調整や特定保険医療材料などの知識や準備なども必要になることがあります。

施設在宅系においては、規模や人員配置、施設基準の違いがあります。
例えば、グループホーム(GH)などは看護師の配置義務はなく、有料老人ホームなどは配置義務があります。

このように「在宅医療(ケア)」といっても細分化され、業務内容が大きく異なることが分かります。

では、私達薬剤師はどのような在宅医療に関わるべきなのか…。

それぞれの場面で求められる知識や行動、連携するべき職種も異なっています。
(機会があれば全ての状況を経験することが必要ですが…)

在宅医療の新人教育では、終末期・末期がんの患者を新人配属当初より担当させます。処方箋とは別に本人が必要と感じれば、一日に何回でも、週に何日でも(算定とは関係なく)、本人が気になれば訪問をさせます。初めての末期がん患者の最期を看取るために、寄り添うために、本人が納得するまで何度も訪問させます。

このような患者の多くが1〜2ヶ月で亡くなります。そこで初めて薬剤師として死に直面する場面を作ります。

大学教育や実習では、あまり触れることはないでしょう。このような教育をすることにより、真に患者本位の、医療人としての薬剤師である関わり方ができるようになります。

その後、患者の既往歴の治療ガイドライン(診断方法・病状・薬剤選択など)、薬理学、衛生材料などの研修を行うことにより、医療人としての薬剤師は「あの時、患者さんの為に何が出来たのか…」ということを考えるようになります。

上図のように、一言に「在宅医療」と言っても細分化されておりますが、人の最期に関わることにより、様々な場面でどこを見て、何を考えるべきかを根付かせることができるのではないでしょうか。