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【第2回】思春期
中村 由喜氏TAYA研究会 代表/あおぞら薬局富士見店 管理薬剤師
思春期の女性は成長過程で体や心にたくさんの悩みを抱えています。保護者の方々の心配も多い時期です。12歳前後で訪れる初経後、徐々に卵巣機能が成熟し、月経の周期、月経時の経血量などが安定していきます。こうした時期に月経について正しい情報に触れることはとても大切です。
私たちの薬局では、自然に月経についての情報に触れて頂けるよう、「正常な月経、受診をした方がいい時、月経周期の数え方、基礎体温、LEP製剤・低用量ピル」などの掲示物を作成して情報提供しています。また生理用品の見本として、ナプキンやタンポンの新商品などを展示し、訪れた患者さんやご家族が自然に手に取り、使い分けなどを知ってもらえるように配置しており、希望される方には販売もできるようにしています。調剤を待つ間に興味を示されている方には、投薬時にお話を聞き、月経やピルに関する冊子の配布を行い、知識をつけていただけるように支援しています。
思春期の子供をもつ保護者の方からは、修学旅行や部活の試合、受験などでのパフォーマンスをあげるためにと、月経の移動について相談を受けることがあります。月経を早めるのか、遅らせるのか、薬はいつ飲むのか、どうのように薬を入手するのか、どこの婦人科がおすすめか、服薬後の月経に影響はあるのかなど、保護者の方々もネット情報にアクセスしているのですが、対面で相談して説明を受けることでの安心感を求められています。
私たちの薬局では、中・高用量ピルでの月経の移動法、悪心・嘔吐などの副作用が少ない低用量ピルでの移動法などを説明すると同時に、計画的に数週間前から服用する必要があることを説明しています。こうしたタイミングで婦人科受診が身近になることも将来的には良いことと考えていますので、婦人科受診についても丁寧に説明するようにしています。
思春期の女性に見られる症状として月経困難症があります。月経困難症は、月経に伴う下腹部痛や腰痛が主な症状で吐き気、頭痛、下痢、発熱などを伴います。子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症などを背景とする器質性月経困難症と、疾患はないがプロスタグランジン(PG)による子宮筋の収縮が疼痛の主な原因である機能性月経困難症に分類されます。大部分の月経困難症が機能性月経困難症にあたり、初経後1年経過し排卵周期が安定してくるころから起こることが多いです。
ある患者さんが、咽頭炎症状の薬と一緒に痛み止めの処方があったのでお話しを聞いてみると、月経痛がひどく、痛みで学校を休んでいると相談を受けました。婦人科を紹介したところ、そこで月経困難症治療薬(LEP製剤)の処方をしてもらい来局されました。患者さんの母親は服用に抵抗を示しましたが、ご本人にとっては学校を休まないで通学できることで安心感が得られることをお話しました。服用開始から半年くらい経過して患者さんが来局された際に、月経痛がなくなって部活ができることを喜んでおられ、私も嬉しくなりました。こういった相談事があったとき、薬局薬剤師の職能を発揮する機会だと改めて感じました。
次回のコラムでは性成熟期についてご説明します。