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パーキンソン病診療ガイドライン2018改訂のポイント:改訂の経緯とポイント
監修:服部 信孝 先生
「パーキンソン病診療ガイドライン」作成委員会 委員長
順天堂大学大学院医学研究科神経学講座 教授
2011年、「パーキンソン病治療ガイドライン2011」の公開以降、パーキンソン病の治療方針には大きな変化はないものの、ドパミンアゴニスト徐放剤、貼付剤、アポモルヒネ皮下注射、イストラデフィリン、L-ドパ持続経腸療法などの新しい治療法が登場し、また、パーキンソン病の病態メカニズムの解明や画像診断技術は大きく進歩した。さらに近年、診療ガイドライン作成方法が世界的に大きく進展しており、2014年にMindsの「診療ガイドライン作成の手引き2014」が改訂された。
このような中、7年ぶりにガイドラインが改訂され、「パーキンソン病診療ガイドライン2018」が発行されるに至った。今回のガイドラインは、「治療ガイドライン2011」の改訂版として作成されたが、治療だけでなく、診断基準や病因なども解説していることから、「治療ガイドライン」から「診療ガイドライン」へと名称が変更された。
本ガイドラインの対象患者は発症早期から進行期に至る様々な病期のパーキンソン病患者であり、遺伝子、環境因子、診断基準、画像診断、運動症状および非運動症状に対する薬物および非薬物療法に関して、全般的に網羅し、提示している。
最も重要である臨床課題(早期パーキンソン病の治療方針と運動合併症に対する治療)については、GRADEシステムを用いたClinical Question(CQ)として定式化した。CQを作成することが難しいと判断された臨床課題に関しては、治療ガイドライン2011の発刊以降登場した新薬や臨床的重要事項などを中心に改訂し、QandAと表現し、その課題に対する答えは回答文として記載した。
ガイドラインは患者の治療方針において、最適な選択をする際の1つの手がかりとして用いるものであり、治療を強制するものではない。ガイドラインは、全国どの施設においても標準的な医療が受けられる体制、すなわち医療の標準化を推進する側面がある。本ガイドラインの推奨や回答は現在の標準的治療であるが、治療方針を決める際には、生活環境、経済的な側面、患者の希望などを考慮する必要がある。この点を理解したうえで、判断材料として、参考にしていただければ幸いである。