レビー小体型認知症の主な検査


監修:池田 学 先生
大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学講座 精神医学 教授

MMSE(Mini-mental state examination)

必須:認知機能低下
  • 認知機能を評価するための簡便なスケール
  • 11項目から構成され、得点範囲は0~30点(得点が低いほど重度)
MMSE(Mini-mental state examination)

Folstein MF, et al. J Psychiat Res 1975; 12(3): 189-198

CFI(Cognitive fluctuation inventory)

中核的特徴:認知の変動
  • 認知機能の変動を評価するためのスケール
  • 主質問と下位質問が設定され、主質問により認知機能の変動が疑われる場合は下位質問を行う
  • 下位質問で最も特徴的な症状の重症度と頻度を評価し、得点は重症度と頻度の積として算出する
    (0~12点、得点が高いほど重度)
CFI(Cognitive fluctuation inventory)

橋本衛 他. Brain Nerve 2014; 66(2): 175-183

UPDRS(Unified Parkinson's disease rating scale)

中核的特徴:パーキンソニズム
  • UPDRSはパーキンソン病を総合的に評価するためのスケールであり、PartⅠ~PartⅣで構成される
  • UPDRS PartⅢはパーキンソン病の運動機能を評価するためのスケール
  • UPDRS PartⅢは14項目から構成され、各項目について医師が0~4点で評価(左右の場合は左で0-4点、右で0-4点)
  • UPDRS PartⅢの得点範囲は0~108点であり、得点が高いほど重度

UPDRS PartⅢ

UPDRS PartⅢ(Unified Parkinson's disease rating scale)

折笠秀樹 他. 神経治療 2000; 17: 577-591

RBDSQ-J(RBD screening questionnaire日本語版)

中核的特徴:RBD
  • レム期睡眠行動異常(RBD)のスクリーニングを行うためのスケール
  • 得点範囲は0~13点であり、5点以上をRBD疑いと判断する
RBDSQ-J(RBD screening questionnaire日本語版)

Miyamoto T, et al. Sleep Med 2009; 10(10): 1151-1154

NPI-10(Neuropsychiatric inventory)1,2)

中核的特徴:幻視 支持的特徴:幻視以外の幻覚 支持的特徴:体系化された妄想 支持的特徴:アパシー、不安、うつ
  • 認知症の行動・心理症状(BPSD)を評価するためのスケール
  • 検査者が介護者に面接して評価
  • NPI-10では10項目から構成され、得点範囲は0~120点(得点が高いほど重度)
NPI-10(Neuropsychiatric inventory)

1)Cummings JL, et al. Neurology 1994; 44(12): 2308-2314
2)博野信次 他. 脳と神経 1997; 49: 266-271

パレイドリア(錯視誘発)テスト

中核的特徴:幻視
  • パレイドリアとは、雲の形が顔に見えたり、シミの形が動物に見えたりと、不定形の対象物が違ったものに見える現象1)
  • 幻視自体を誘発することは困難であるが、パレイドリアは人為的に誘発することができ、それを幻視の代用尺度とする手法1)
  • 風景写真2)とノイズ画像3)の2つが開発されている
  • 風景写真2)
    パレイドリア(錯視誘発)テスト:風景写真

    Uchiyama M et al, Pareidolias: complex visual illusions in dementia with
    Lewy bodies, Brain, 2012, 135, Pt8, 2458-2469, by permission of Oxford
    University Press.

  • ノイズ画像3)
    パレイドリア(錯視誘発)テスト:ノイズ画像

    Reprinted from Neuropsychologia, 56, Yokoi K et al, Hallucinators find meaning in noises:
    pareidolic illusions in dementia with Lewy bodies, 245-254., Copyright(2014),
    with permission from Elsevier.

  • パレイドリアの誘発頻度は健常高齢者やアルツハイマー型認知症患者に比べてレビー小体型認知症患者で高い1)
  • 風景写真版では感度100%、特異度85%、ノイズ画像版では感度71%、特異度80%でアルツハイマー型認知症からレビー小体型認知症を鑑別可能1)
  • レビー小体型認知症では、パレイドリアは幻覚や誤認妄想と相関することが示されている1)

1)小阪憲司 編. レビー小体型認知症の診断と治療 臨床医のためのオールカラー実践ガイド(harunosora)
2)Uchiyama M, et al. Brain 2012; 135(pt8): 2458-2469
3)Yokoi K, et al. Neuropsychologia 2014; 56: 245-254