第2回 Discussion:ラツーダが適する患者像

これからの外来統合失調症治療について考える

開催日:2023年8月6日 これからの外来統合失調症治療を考える座談会(会場:住友ファーマ株式会社 東京本社)


統合失調症治療は、長期入院治療から外来治療中心の時代へ移行しています。
本コンテンツでは、精神科病院、大学病院精神科、メンタルクリニックで外来統合失調症患者さんを多く診療されている4名のエキスパートの先生方にお集まりいただき開催した座談会(開催日:2023年8月6日)の様子をまとめた記録集の内容を、3回にわたりダイジェストでご紹介します。
第2回の今回は、ラツーダが適する患者像に関するディスカッションを取り上げます。
● ラツーダの投与を検討するケースは?
● 外来でどのようにラツーダを患者さんに提案するか?
● ラツーダの投与が適する症例は?

第2回 Discussion:ラツーダが適する患者像

「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください。

CQ:ラツーダの投与を検討するケースは?

堀先生

外来統合失調症患者さんに、ラツーダの投与を検討するケースを教えてください。

古川先生

ラツーダは、「中核症状への効果を保ちながら、できるだけ副作用を軽減することを目指して創製されたSDA」という話が堀先生からありましたが(図1)、実際に一定の抗精神病作用や継続率が期待でき、飲み心地がよいという印象を持っています。患者さんは、最初の抗精神病薬で、不快気分のような悪い印象を持ってしまうと、拒薬してしまうことがあります。そのため、ラツーダは、外来の統合失調症治療における最初の薬剤として適した選択肢のひとつになるのではないかと思います。また、SDAを使いたいけれどEPSや体重増加などを避けたいケースでも、ラツーダは良い選択肢になると考えています。

図1 [薬効薬理]ルラシドンの需要体結合親和性(Kit値)(in vitro)
堀越先生

私はアドヒアランスを考慮してLAI導入を見据えての薬剤選択をすることも多いのですが、最近ラツーダを選択する機会が増えてきました。私がラツーダを選択する場合は、3つのケースがあります。1つ目は、他剤で体重増加や過鎮静、眠気などの副作用が出てしまったケースです。2つ目は、意欲が低下しているケースです。3つ目は、再発・陽性症状が前景にあるケースです(図2)。これらのケースにラツーダを選択することで、社会機能の向上を目指せるのではないかと考えています。

図2 当院の外来統合失調症治療におけるラツーダの位置づけ
渡邉先生

私は、有効性の面では、どの抗精神病薬を選んでもあまり変わらないと思っていますが、副作用の面では違いがあると感じています。ラツーダは、副作用を重視した外来治療では、最初の選択肢になると考えています。また、堀越先生同様に、私もLAIを使う機会がありますが、外来で薬剤を導入する際は、患者さんに「飲み薬、LAI、貼付剤がありますが、どれにしますか」と剤形の選択肢を提示して、選んでもらっています。その中から飲み薬を希望された患者さんには、ラツーダを処方します。

堀先生

飲み薬にも複数の選択肢があると思いますが、渡邉先生はラツーダを選択することが多いですか。

渡邉先生

そうですね。今までラツーダを処方した経験から、就労までつなげられる印象を持っており、それを目指してラツーダを選択する機会が多くなっています

略語

・SDA:Serotonin Dopamine Antagonist(セロトニン・ドパミン拮抗薬)
・EPS:Extrapyramidal symptoms(錐体外路症状)
・LAI:Long Acting Injection(持続性注射剤)

CQ:外来でどのようにラツーダを患者さんに提案するか?

堀先生

外来統合失調症患者さんにラツーダを使う際に、どのような説明をしていますか。

古川先生

副作用に関しては、アカシジアのことは説明するようにしています。日本人も含む国際共同第3相試験(JEWEL試験)でのラツーダのアカシジア発現頻度は4.0%ですが、ラツーダの中で最も頻度が高い副作用になるので「そわそわする感じがある場合は、早めに受診してください」と伝えており、症状が出現した場合は早めに対応するようにしています(後述の国際共同第3相試験(JEWEL試験):検証的試験 副作用発現状況を参照)

堀越先生

私は、不安や抑うつを訴える方には、「あなたが今困っている不安な症状がお薬でよくなる可能性がありますよ」と説明しています。薬剤導入時に副作用について丁寧に説明すると、心配になってしまう方もいらっしゃるので、初回は副作用についてはあまり強調しないようにし、1週間後のフォローアップの際に確認するようにしています。

CQ:ラツーダの投与が適する症例は?

堀先生

ラツーダの投与が適していると考えられるのは、どのような症例像でしょうか。

堀越先生

ラツーダは、陽性症状を呈する患者さんに加え、抑うつ症状を呈する患者さんにも適していると考えています。希死念慮があり、死にたいと訴えるような抑うつ症状を呈する統合失調症患者さんに対して使用し、速やかに希死念慮を改善した印象があるからです。

堀先生

抑うつ症状が改善すると、患者さんのQOLが上がり、その薬剤に対する患者さんの評価が上がりますよね。

堀越先生

はい。仰る通り、抑うつ症状が改善すると患者さんの中で、ラツーダの評価が上がるような印象を持っています。

渡邉先生

患者さんが、ラツーダ投与1週後や2週後でよくなったと評価する症状は、不安や抑うつが多いという印象です。また、不安や抑うつの改善が認められた患者さんに「声が聞こえてくる感じはどうですか?」などと確認してみると、しばしば幻聴などの陽性症状も一緒に軽減しているといった印象があります。

堀先生

患者さんは何らかの症状が改善されたことを実感できれば、その薬を飲み続けてくれるようになりますよね。服用を続けてもらうためには、患者さんに薬剤の効果を実感してもらうことは重要なのだと思います。

ラツーダの国際共同第3相試験(JEWEL試験):検証的試験についてはこちらをご覧ください。

JEWEL試験(検証的試験)

国際共同第3相試験(JEWEL試験):検証的試験

急性増悪期の統合失調症患者を対象とした検証的試験

今回は、座談会記録集から、ラツーダが適する患者像に関するディスカッションの内容をご紹介しました。
本座談会では、外来統合失調症治療における現状と課題に始まり、2つの使用実態調査を含むラツーダの複数のエビデンスをご解説いただいております。また、統合失調症患者さんを社会につなげていくための外来統合失調症治療において、ラツーダをどのようにお役立ていただけるか、活発にご議論いただきました。
本日の内容が、先生のご診療の参考になれば幸いです。


ラツーダ錠20mg/錠40mg/錠60mg/錠80mgの製品基本情報(適正使用情報など)

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