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第3回 Discussion:ラツーダの使い方のポイントと期待


開催日:2023年8月6日 これからの外来統合失調症治療を考える座談会(会場:住友ファーマ株式会社 東京本社)

統合失調症治療は、長期入院治療から外来治療中心の時代へ移行しています。
本コンテンツでは、精神科病院、大学病院精神科、メンタルクリニックで外来統合失調症患者さんを多く診療されている4名のエキスパートの先生方にお集まりいただき開催した座談会(開催日:2023年8月6日)の様子をまとめた記録集の内容を、3回にわたりダイジェストでご紹介します。
第3回の今回は、ラツーダの使い方に関するディスカッションを取り上げます。
今回は、次の2つのCQに関する議論の様子をご紹介します。
● ラツーダの使い方、用量調節のポイントは?
● 社会機能・生活機能改善を目指す治療におけるラツーダの役割は?

第3回 Discussion:ラツーダの使い方のポイントと期待
CQ:ラツーダの使い方、用量調節のポイントは?

ラツーダの有効用量について参考になりそうなデータを紹介します。図1は、ラツーダ投与量と脳内ドパミンD2受容体占有率の関係性をPETを用いて検討した結果です。20mgでは、尾状核、被殻ともにtherapeutic windowに達していません。一方、40mgから80mgではtherapeutic windowに達しており、この結果から、ラツーダの適正投与量は、承認用量の40mg~80mgであることがわかります。
![図1 [薬効薬理]ルラシドン投与量と脳内ドパミンD2受容体占有率の関係性(投与後1.5時間)(外国人データ)](/medical_content/information/latuda/img/korekara/03/slide01.jpg)

また、モーズレイ処方ガイドライン1)では、ラツーダは、初発エピソード、複数エピソードともに40mgが最小有効用量と記載されていることからも、開始用量が有効用量となります(図2)。


また、海外のデータでは、ラツーダのDefined Daily Doses(DDD)は60と示されています(図3)。


図4は、私が考える外来統合失調症治療(初発・再燃例)におけるラツーダの使い方です。まず40mgから開始し、忍容性及び有効性を確認しながら、1週間程度で、患者さんの状態によっては2週間程度で80mgに増量します。興奮が強かったり、入院も考慮されるような急性期の患者さんの場合は、忍容性に問題がなければ最短翌日で80mgに増量します。増量幅や間隔の規定がないことや、漸増する必要がほぼなく、40mgの次は80mgに増量可能なところが、ラツーダを使いやすいと感じている点です。なお、ラツーダの投与初期は、必要に応じて静穏作用のある抗精神病薬、睡眠薬、抗ヒスタミン薬といった補助薬を一時的に併用します。効果判定は、抗精神病作用については2週間から4週間程度で行います。


ラツーダへの切り替えは、リスペリドン、パリペリドンなどのSDAから切り替える場合は、まずラツーダ40mg/日を上乗せで開始します(図5)。そして、患者さんの状態を十分に観察しながら、適正用量までラツーダを増量した後に、前抗精神病薬を徐々に減量します。前治療薬がリスペリドンやパリペリドンのようなSDAの場合は、ラツーダを適正用量まで増量する前から前薬の漸減を開始する、漸増漸減法でもよいと考えています。また、MARTAのような抗コリン作用の強い薬剤から切り替える場合は、コリン作動性の離脱症状に注意しながら時間をかけて前治療薬を減らすことがポイントとなります。
![図5 PANSS下位項目別スコアのベースラインからの変化量推移[52週間]](/medical_content/information/latuda/img/korekara/03/slide05.jpg)

先生は60mgに刻むことはありますか。

前治療薬があり、錐体外路症状の忍容性の問題がある方などに対しては、60mgを刻むケースもありますけれども、割合としては少ないと思います。

私は40mgから開始して、60mg、80mgと結構刻んでいきますね。通院継続を重視しているので、患者さんと相談しながら、増量するか決定していきます。

渡邉先生は、ラツーダの使用実態調査2)をご紹介いただく中で、忍容性が確認され効果不十分な場合は、翌日には80mgまで増量するというお話をされていたかと思いますが、外来ではどうされているのですか。

まずはラツーダ40mgで開始し、患者さんには1週間後をめどにできるだけ早いタイミングで来院頂き、忍容性が確認され効果不十分であれば80mgに増量します。その際患者さんには、「効果や副作用を確認したいため、できれば1週間以内に来てもらいたい」「効果や副作用の出方によって、増量したり、減量したりする可能性がある」ということも事前に説明するようにしています。

増量するタイミングについてディスカッションしてきましたが、逆にラツーダの減量を検討するのは、どのようなケースですか。

私は副作用や患者さんの希望がなければ、積極的には減量しないです。やはりクリニックの立場として、病院に迷惑をかけたくないというのがありまして、悪化するリスクは減らしたいという思いがあります。

患者さんが減量したいと希望された場合は、どのように対応されているのですか。

減量した場合のリスクを説明して説得します。それでも減量したいと希望された場合は、減量します。

私も患者さんの希望がない限りは、80mgを維持したいと考えています。しかし、患者さんの中には減量を希望される方もいらっしゃいます。そういった場合、こちらがまったく減量に応じないと、薬を勝手に止められてしまうリスクもあるため、着地点を患者さんと一緒に見つけながら、内服を継続してもらうことが重要かなと思っています。

私も基本的には80mgを維持したいですが、EPSなどの副作用が出た場合は60mgに減量することもあります。また、先生方がおっしゃっていたように、患者さんから「少し減らしたい」と言われることはあります。その場合、「20mgだけ減らしてみよう」「減らして悪化したら、80mgに戻そう」と説明をした上で、減量することはあります。
略語
・SDA:Serotonin Dopamine Antagonist(セロトニン・ドパミン拮抗薬)
・MARTA:Multi acting receptor targeted antipsychotics(多元受容体標的化抗精神病薬)
・EPS:Extrapyramidal symptoms(錐体外路症状)
CQ:社会機能・生活機能改善を目指す治療におけるラツーダの役割は?

先ほどから、外来統合失調症治療では、社会機能・生活機能の改善が重要というお話が出てきていますが、この社会機能・生活機能の改善において、ラツーダはどのような役割を果たすとお考えでしょうか。

ラツーダで治療している方は、社会機能や生活機能の改善につながっていく印象があります。ラツーダの眠気の頻度や、認知機能障害への作用がどの程度影響したのかはわかりませんが、当院では、ラツーダを使用している患者さんがリワークも利用しながら、就職や復職したケースを多数経験しています。

私は患者さんがデイケアに来られるかどうかということは、社交不安症状を評価する意味で非常に重要だと考えています。ラツーダは、その不安を改善させる作用があるため、デイケアへの参加を促すことに貢献できる選択肢なのではないかと考えています。「この患者さんをもっとよくしてあげたい」という医師の思いを後押ししてくれる薬剤だと思います。

渡邉先生の使用実態調査2)では、社会参加状況のデータも報告されていますね。ラツーダを使用する際に、社会機能を高めるという観点で工夫していることを教えていただけますか。

リカバリーは、薬だけで達成できるものではないと思っています。私は、住友ファーマさんが作成しているKIZUNAノートを活用しています。ノートに、患者さんが目標や夢を書いて、それを改めて客観視することが、リカバリーの達成に重要なのではないかと思っています。ただし、リカバリーの達成には、薬の服用を続けてもらうことが前提にあると思います。ラツーダは、副作用や飲み心地の観点から患者さんが継続しやすい薬剤なので、そういった点でリカバリーの達成に貢献できるのではないかと思います。
弊社では、患者さんのパーソナルリカバリーをサポートするツールをご用意しています。本座談会のパネリストのおひとりである、ほりこし心身クリニック 院長の堀越 翔先生からは、次のようにコメントいただいております。
Dr’s Voice

クライシスプランを活用されている患者さんが、「今は、黄色信号です」などと自分の状況を把握し、伝えてくださったときは、「資材を使って、コミュニケーションを取れている」と感じ、うれしかったですね。
統合失調症患者さんやそのご家族、支援者の方々のコミュニケーションツールとしてぜひご活用ください。
ラツーダの国際共同第3相試験(JEWEL試験):検証的試験についてはこちらをご覧ください。

国際共同第3相試験(JEWEL試験):検証的試験
急性増悪期の統合失調症患者を対象とした検証的試験
今回は、座談会記録集から、ラツーダが適する患者像に関するディスカッションの内容をご紹介しました。
本座談会では、外来統合失調症治療における現状と課題に始まり、2つの使用実態調査を含むラツーダの複数のエビデンスをご解説いただいております。また、統合失調症患者さんを社会につなげていくための外来統合失調症治療において、ラツーダをどのようにお役立ていただけるか、活発にご議論いただきました。
本日の内容が、先生のご診療の参考になれば幸いです。
Reference
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渡邉 佑一郎. :最新精神医学., 28:435, 2023 本論文の著者は住友ファーマ株式会社から講演料を受領している。
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竹内 一平. ほか. :新薬と臨牀., 70:752, 2021 本論文の著者に大日本住友製薬株式会社(現:住友ファーマ株式会社)より、講演料、コンサルタント料などを受領しているものが含まれている。