レミッチ:非臨床試験 - κ受容体に対する選択性(in vitro)


ナルフラフィン塩酸塩はκ受容体に選択的に結合性及び作動性を示す薬剤です。

κ受容体に対する結合性及び作動性(in vitro)*

ヒトκ、μ、δ受容体を発現させた細胞膜表面における特異的標識リガンド結合に対する阻害作用を指標とした受容体結合試験の結果、ナルフラフィン塩酸塩のκ受容体に対する結合性は、μ及びδ受容体と比較して、それぞれ9倍及び1,980倍強いことが示された。また、ヒトκ、μ、δ受容体を発現させた培養細胞を用いたフォルスコリン刺激によるcAMP産生に対する抑制作用を指標とした受容体作動性試験の結果、ナルフラフィン塩酸塩のκ受容体に対する作動性は、μ及びδ受容体と比較して、それぞれ203倍及び2,610倍強いことが示された。同試験におけるモルヒネのκ受容体に対する作動性は、μ及びδ受容体と比較してそれぞれ0.1倍及び1倍であった。

ナルフラフィン塩酸塩のヒトκ受容体結合性及び作動性

方法

<結合試験>
ヒトκ、μ、δ受容体を発現させた細胞膜表面において、各受容体の特異的リガンドとして[3H]ジプレノルフィン(κ及びμ受容体)又は[3H]ナルトリンドール(δ受容体)を使用し、ナルフラフィン塩酸塩の各受容体の特異的リガンド結合に対する阻害作用を指標として、受容体結合性を評価した。
<作動性試験>
フォルスコリン30μmol/Lとともにナルフラフィン塩酸塩をヒトκ、μあるいはδ受容体を発現させた各細胞に添加し、37℃で30分間インキュベーションし、産生されたcAMP量を測定した。得られたcAMP量よりEC50値ならびに効力比を算出した。

* 中尾 薫 他:日本神経精神薬理学雑誌 28(2): 75, 2008
 本論文の著者のうち8名は、東レ株式会社の社員である。