パーキンソン病におけるトレリーフの特徴:wearing off現象の改善効果(off時間の変化量)


追加第Ⅲ相試験(検証試験)

最終評価時におけるoff 時間変化量は、トレリーフ25mg群-0.44±0.18時間、50mg群-0.72±0.18時間、プラセボ群-0.01±0.17時間で、50mg群でプラセボ群に比べ有意なoff 時間の短縮が認められ、優越性が検証されました。

最終評価時off時間変化量 【主要評価項目】

最終評価時off時間変化量 【主要評価項目】

Murata, M., et al., Zonisamide Improves Wearing-Off in Parkinson's Disease: A Randomized, Double-Blind Study,
Mov. Disord., 30(10): 1343-1350, 2015. © International Parkinson and Movement Disorder Society and John Wiley & Sons, Inc.

トレリーフ50mg群は、すべての評価時点でoff 時間をプラセボ群に比べ有意に短縮しました。また、トレリーフ25mg群は、投与8週後のoff 時間をプラセボ群に比べ有意に短縮しました。

最終評価時off時間変化量 【副次評価項目】

最終評価時off時間変化量 【副次評価項目】

安全性

安全性評価対象389例中、副作用はトレリーフ25mg群で130例中35例(26.9%)56件、50mg群で128例中46例(35.9%)64件、プラセボ群で131例中31例(23.7%)54件に認められました。主な副作用は、トレリーフ25mg群でジスキネジア8例(6.2%)、血中尿素増加4例(3.1%)、50mg群でジスキネジア9例(7.0%)、傾眠8例(6.3%)、プラセボ群でジスキネジア9例(6.9%)、食欲減退、LDH 増加が各々4例(3.1%)等でした。

死亡を含む重篤な有害事象は、トレリーフ25mg群4例4件(医療機器バッテリー問題、蜂巣炎、心不全、肺炎)、50mg群5例6件(医療機器関連感染、痔核、穿孔性胃潰瘍・感染性腹膜炎、顆粒球数減少、自殺既遂)、プラセボ群2例4件(肺塞栓症、播種性血管内凝固・エンドトキシンショック・細菌性腸炎)認められました。50mg群で1例の死亡(自殺既遂)が報告され、薬剤との因果関係は否定されませんでした。有害事象による投与中止は、25mg群1例1件(薬疹)、50mg群9例11件(異常感覚2件、幻覚、傾眠、口の錯感覚、穿孔性胃潰瘍、感染性腹膜炎、食欲減退、顆粒球数減少、悪心、薬疹各1件)、プラセボ群3例5件(胸部不快感、肺塞栓症、播種性血管内凝固・エンドトキシンショック・細菌性腸炎)でした。

ICH国際医薬用語集(MedDRA)日本語版Ver.14.1の基本語PTで集計

試験方法開く

【目的】
wearing off現象を発現したパーキンソン病患者に対するトレリーフ追加投与の有効性及び安全性を検討する。
【対象】
wearing off現象を発現したパーキンソン病患者389例<選択基準>(1)20歳以上75歳未満、(2)L-ドパ製剤投与開始当初に効果が認められていた、(3)L-ドパ/DCI合剤を連続して6ヵ月(182日)以上服薬中である、(4)wearing off現象が発現している、(5)問診などにより、off時間が2時間/日以上認められる、(6)観察期開始前2週間の抗パーキンソン病薬の用法及び用量が一定である、の条件をすべて満たす患者。
【方法】
患者を無作為にプラセボ群131例、トレリーフ25mg群130例、50mg群128例に割り付け、各々を1日1回朝経口投与し、観察期4週間、治療期12週間の二重盲検比較試験を行った。
【主要評価項目】
最終評価時のoff時間変化量
【副次評価項目】
各評価時期のoff時間変化量、UPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)PartⅡoff時合計スコア変化量等
【解析計画】
有効性評価の主要解析では、各トレリーフ群のプラセボ群に対する優越性を検証した。投与群を要因、ベースライン値を共変量とする共分散分析モデルを用いて各トレリーフ群とプラセボ群の対比較を閉検定手順により行った。閉検定手順では、50mg群、25mg群の順にプラセボ群との対比較を行い、検定の多重性を調整した。

承認時評価資料:wearing off 現象を発現したパーキンソン病患者を対象とした追加第Ⅲ相試験
Murata, M., et al.: Mov. Disord., 30:1343-1350, 2015
(本試験への大日本住友製薬株式会社(現:住友ファーマ株式会社)からの支援あり/本論文の著者のうち3名は同社の社員である)

後期第Ⅱ相/第Ⅲ相試験(用量設定試験)

最終評価時におけるoff 時間変化量は、トレリーフ25mg群-0.25±0.32時間、50mg群-1.40±0.30時間、プラセボ群-0.18±0.31時間で、50mg群でプラセボ群に比べ有意なoff 時間の短縮が認められました。

最終評価時off 時間変化量 【副次評価項目】

最終評価時off 時間変化量 【副次評価項目】

承認された25mg群、50mg群のみ記載しました。

安全性

安全性評価対象330例中、副作用はトレリーフ25mg群で79例中32例(40.5%)60件、50mg群で85例中42例(49.4%)105件、100mg群で83例中42例(50.6%)111件、プラセボ群で83例中24例(28.9%)61件に認められました。主な副作用は、トレリーフ25mg群で体重減少が4例(5.1%)、食欲減退、体位性めまい及びALT(GPT)増加が各々3例(3.8%)、50mg群で傾眠が11例(12.9%)、食欲減退及び血中クレアチンホスホキナーゼ増加が各々6例(7.1%)、100mg群で傾眠が11例(13.3%)、食欲減退が10例(12.0%)、体重減少が6例(7.2%)、プラセボ群で食欲減退が7例(8.4%)、傾眠、ジスキネジア及び悪心が各々3例(3.6%)等でした。

重篤な有害事象は、トレリーフ25mg群2例2件(意識レベルの低下、発熱)、50mg群2例2件(圧迫骨折、顆粒球数減少)、100mg群3例4件(薬剤性皮膚炎・中毒性皮疹、体重減少、大腿骨頚部骨折)、プラセボ群で2例6件(発熱・低ナトリウム血症・意識レベルの低下、血中クレアチニン増加・血中尿素増加・腎機能障害)が認められました。死亡例は認められませんでした。有害事象による投与中止は25mg群5例8件(腹痛、食欲減退、意識レベルの低下、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、発熱等)、50mg群6例13件(傾眠、倦怠感、悪心、うつ病、視覚障害、幻視等)、100mg群11例25件(食欲減退、胃不快感、薬剤性皮膚炎、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、流涎過多、体重減少等)、プラセボ群5例16件(抗利尿ホルモン不適合分泌、発熱、血中クレアチニン増加、悪心、倦怠感等)でした。

ICH国際医薬用語集(MedDRA)日本語版Ver.7.0の基本語PTで集計

試験方法開く

【目的】
L-ドパ製剤(L-ドパ/DCI合剤を含む)による治療で十分な効果が得られていないパーキンソン病患者に対するトレリーフ追加投与の有効性及び安全性を検討する。
【対象】
パーキンソン病患者347例<選択基準>L-ドパ製剤による治療歴が6ヵ月以上で同製剤の投与開始当初から効果が認められており、かつ、L-ドパ製剤による治療がトレリーフ投与開始4週間以上前より一定(用法及び用量)である患者のうち、(1)wearing off現象が発現している、(2)L-ドパ製剤の効果が減弱してきた、(3)副作用等のためL-ドパ製剤の増量を見合わせている、のいずれかに該当する20歳以上80歳未満の患者。
【方法】
患者を無作為にプラセボ群89例、トレリーフ25mg群84例、50mg群87例、100mg群87例に割り付け、各々を1日1回朝経口投与し、観察期2週間、治療期12週間、減量期2週間の二重盲検比較試験を行った。

※減量期は投与量を半量に設定し、25mg群は試験を通して同一用量とした。

【主要評価項目】
UPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)PartⅢ(運動能力)合計スコアのベースラインからの変化量(治療期終了時又は治療期中止時)
【副次評価項目】
wearing off現象におけるoff時間等
【解析計画】
有効性評価の主要解析では、ベースラインからの変化量について、投与群を要因、ベースラインの値及び患者背景因子で不均衡がみられた項目を要因とした共分散分析を行い、Dunnett検定によりプラセボ群と実薬群の比較を行い、最大対比法により容量反応性を検討した。

承認時評価資料:L-ドパ製剤による治療で十分な効果が得られていないパーキンソン病患者を対象とした後期第Ⅱ相/第Ⅲ相試験

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