パーキンソン病におけるトレリーフの特徴:UPDRS Part Ⅱ(日常生活動作)合計スコア変化量


第Ⅲ相試験(検証試験)

最終評価時におけるUPDRS Part Ⅱ off 時合計スコア変化量は、トレリーフ25mg群-2.6±0.5、50mg群-1.4±0.5、プラセボ群-0.8±0.5で、トレリーフ25mg群でプラセボ群に比べ有意な改善が認められ、優越性が認められました。

最終評価時UPDRS Part Ⅱ off時合計スコア変化量 【副次評価項目】

最終評価時UPDRS Part Ⅱ off時合計スコア変化量 【副次評価項目】

Murata, M., et al., Randomized Placebo-controlled Trial of Zonisamide in Patients with Parkinson's Disease, neurology & clinical neuroscience, 4(1): 10-15, 2016. © Japanese Society of Neurology and John Wiley & Sons Australia, Ltd

安全性

安全性評価対象189例中、副作用はトレリーフ25mg群で63例中19例(30.2%)27件、50mg群で63例中22例(34.9%)37件、プラセボ群で63例中19例(30.2%)36件に認められました。主な副作用は、トレリーフ25mg群で幻覚、傾眠、ジスキネジア、抑うつ症状、食欲減退及び血小板数減少が各々2例(3.2%)、50mg群で傾眠、体重減少及び悪心が各々3例(4.8%)、幻覚、ジスキネジア、無力症、不眠症及び流涎過多が各々2例(3.2%)、プラセボ群で不眠症が3例(4.8%)、ジスキネジア、血圧上昇、食欲減退、体重減少及び血中クレアチンホスホキナーゼ増加が各々2例(3.2%)等でした。

死亡を含む重篤な有害事象は、トレリーフ25mg群で6例6件(幻覚、突然死、蜂巣炎、気管支肺炎、低血糖性意識消失、尿路感染)、50mg群で3例4件(体重減少、血中アルカリホスファターゼ増加・前立腺癌、大腿骨頚部骨折)、プラセボ群で2例3件(発熱・発疹、頚椎骨折)認められました。25mg群で1例の死亡(突然死)が報告され、薬剤との関連性を完全に否定することは難しいものの、関連性が強く疑われるものではないと判断されました。有害事象による投与中止は、25mg群で4例4件(幻覚、突然死、低血糖性意識消失、尿路感染)、50mg群で5例6件(体重減少、血中アルカリホスファターゼ増加、無力症・傾眠、大腿骨頚部骨折、睡眠障害)、プラセボ群で2例2件(便秘、頚椎骨折)でした。

ICH国際医薬用語集(MedDRA)日本語版Ver.10.0の基本語PTで集計

試験方法開く

【目的】
L-ドパ製剤(L-ドパ/DCI合剤を含む)による治療で十分な効果が得られていない進行期パーキンソン病患者に対するトレリーフ追加投与の有効性及び安全性を検討する。
【対象】
パーキンソン病患者196例<選択基準>(1)L-ドパ製剤による治療歴が6ヵ月(26週)以上で同製剤の投与開始当初に効果が認められていた、(2)L-ドパ製剤の効果が減弱してきた、(3)L-ドパ製剤に加え他の抗パーキンソン病薬による治療が行われている、(4)観察期開始直前のUPDRS PartⅢ合計スコアが10点以上、(5)20歳以上75歳未満、の条件をすべて満たす患者。
【方法】
患者を無作為にプラセボ群66例、トレリーフ25mg群64例、50mg群66例に割り付け、各々を1日1回朝経口投与し、観察期2週間、治療期12週間の二重盲検比較試験を行った。
【主要評価項目】
UPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)PartⅢ(運動能力)合計スコアのベースラインからの変化量(最終評価時)
【副次評価項目】
UPDRS PartⅡ(日常生活動作)off時合計スコア変化量等
【解析計画】
有効性評価の主要解析では、各評価時期のUPDRS合計スコアのベースラインからの変化量を目的変数とし、投与群を固定効果、ベースラインのUPDRS合計スコアを共変量とする共分散分析モデルを用いて、プラセボ群と各トレリーフ投与群の対比較をDunnett検定により行った。

承認時評価資料:L-ドパ製剤による治療で十分な効果が得られていないパーキンソン病患者を対象とした第Ⅲ相試験
Murata, M., et al.: Neurol. Clin. Neurosci., 4:10-15, 2016
(本試験への大日本住友製薬株式会社(現:住友ファーマ株式会社)からの支援あり/本論文の著者のうち3名は同社の社員である。)

追加第Ⅲ相試験(検証試験)

最終評価時における、UPDRS Part Ⅱoff時合計スコア変化量は、トレリーフ25mg群-1.1±0.3、50mg群-2.0±0.3、プラセボ群-0.9±0.3で、トレリーフ50mg群でプラセボ群に比べ有意な改善が認められ、優越性が認められました。

UPDRS Part Ⅱ off時合計スコア変化量 【副次評価項目】

UPDRS Part Ⅱ off時合計スコア変化量 【副次評価項目】

安全性

安全性評価対象389例中、副作用はトレリーフ25mg群で130例中35例(26.9%)56件、50mg群で128例中46例(35.9%)64件、プラセボ群で131例中31例(23.7%)54件に認められました。主な副作用は、トレリーフ25mg群でジスキネジア8例(6.2%)、血中尿素増加4例(3.1%)、50mg群でジスキネジア9例(7.0%)、傾眠8例(6.3%)、プラセボ群でジスキネジア9例(6.9%)、食欲減退、LDH 増加が各々4例(3.1%)等でした。

死亡を含む重篤な有害事象は、トレリーフ25mg群4例4件(医療機器バッテリー問題、蜂巣炎、心不全、肺炎)、50mg群5例6件(医療機器関連感染、痔核、穿孔性胃潰瘍・感染性腹膜炎、顆粒球数減少、自殺既遂)、プラセボ群2例4件(肺塞栓症、播種性血管内凝固・エンドトキシンショック・細菌性腸炎)認められました。50mg群で1例の死亡(自殺既遂)が報告され、薬剤との因果関係は否定されませんでした。有害事象による投与中止は、25mg群1例1件(薬疹)、50mg群9例11件(異常感覚2件、幻覚、傾眠、口の錯感覚、穿孔性胃潰瘍、感染性腹膜炎、食欲減退、顆粒球数減少、悪心、薬疹各1件)、プラセボ群3例5件(胸部不快感、肺塞栓症、播種性血管内凝固・エンドトキシンショック・細菌性腸炎)でした。

ICH国際医薬用語集(MedDRA)日本語版Ver.14.1の基本語PTで集計

試験方法開く

【目的】
wearing off現象を発現したパーキンソン病患者に対するトレリーフ追加投与の有効性及び安全性を検討する。
【対象】
wearing off現象を発現したパーキンソン病患者389例<選択基準>(1)20歳以上75歳未満、(2)L-ドパ製剤投与開始当初に効果が認められていた、(3)L-ドパ/DCI合剤を連続して6ヵ月(182日)以上服薬中である、(4)wearing off現象が発現している、(5)問診などにより、off時間が2時間/日以上認められる、(6)観察期開始前2週間の抗パーキンソン病薬の用法及び用量が一定である、の条件をすべて満たす患者。
【方法】
患者を無作為にプラセボ群131例、トレリーフ25mg群130例、50mg群128例に割り付け、各々を1日1回朝経口投与し、観察期4週間、治療期12週間の二重盲検比較試験を行った。
【主要評価項目】
最終評価時のoff時間変化量
【副次評価項目】
各評価時期のoff時間変化量、UPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)PartⅡoff時合計スコア変化量等
【解析計画】
有効性評価の主要解析では、各トレリーフ群のプラセボ群に対する優越性を検証した。投与群を要因、ベースライン値を共変量とする共分散分析モデルを用いて各トレリーフ群とプラセボ群の対比較を閉検定手順により行った。閉検定手順では、50mg群、25mg群の順にプラセボ群との対比較を行い、検定の多重性を調整した。

承認時評価資料:wearing off 現象を発現したパーキンソン病患者を対象とした追加第Ⅲ相試験
Murata, M., et al.: Mov. Disord., 30:1343-1350, 2015
(本試験への大日本住友製薬株式会社(現:住友ファーマ株式会社)からの支援あり/本論文の著者のうち3名は同社の社員である)

長期投与試験

承認時評価資料のため一部承認外用量を含みます

トレリーフ投与後のすべての評価時点において、UPDRS Part Ⅱ on 時及びoff 時の各合計スコアはベースラインに比べ有意に低下し、トレリーフによる日常生活動作の改善が認められました。また、その効果は52~56週後まで持続しました。

UPDRS Part Ⅱ合計スコア変化量の推移

UPDRS Part Ⅱ合計スコア変化量の推移

承認された25mg群、50mg群のみ記載しました。

安全性

安全性評価対象92例中、有害事象が87例(94.6%)554件、副作用が60例(65.2%)211件に認められました。主な副作用は、傾眠及び気力低下が各々10例(10.9%)、悪心及び食欲減退が各々9例(9.8%)、うつ病8例(8.7%)、幻覚及びジスキネジアが各々7例(7.6%)、体重減少6例(6.5%)、体位性めまい、便秘及び浮腫が各々5例(5.4%)等でした。

死亡以外の重篤な有害事象は8例12件認められ、脂肪腫、心筋症、意識レベルの低下、貧血、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、赤血球数減少、肺炎、脳出血、大腿骨頚部骨折、転倒、胃癌が各1件で、転倒を除き薬剤との関連性は否定されました。心肺停止による死亡が1例報告され、薬剤との関連性は否定されました。有害事象による投与中止は10例(10.9%)に認められました。

ICH国際医薬用語集(MedDRA)日本語版Ver.7.0の基本語PTで集計

試験方法開く

承認された用量は25mg、50mg です。

【目的】
パーキンソン病患者に対するトレリーフの長期投与によるL-ドパ製剤(L-ドパ/DCI合剤を含む)併用時の安全性を検討する。また、副次的に本剤の長期投与時の有効性を検討する。
【対象】
パーキンソン病患者92例<選択基準>L-ドパ製剤による治療がトレリーフの投与開始4週間以上前より一定(用法及び用量)である20歳以上80歳未満の患者。
【方法】
トレリーフをオープンラベルで52~56週間にわたり1日1回朝経口投与した。1日の最低用量を25mg、最大用量を100mgとし、適宜増減した。
【評価項目】
UPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)パート別合計スコア、有害事象等
【解析計画】
UPDRS合計スコア、Ⅰ~Ⅵのパートごとの合計スコア及び各評価項目スコアについて、各評価時期における治験薬投与前からの変化量の検定には対応のあるStudent-t検定及びWilcoxonの符号付順位検定を用いた。投与前後の比較について有意水準は両側5%とした。

承認時評価資料:パーキンソン病患者を対象とした長期投与試験

関連情報

パーキンソン病・レビー小体型認知症/トレリーフについてもっと知る